オグラコウホネ Nuphar oguraensis var. oguraensis

植物 > 被子植物 > スイレン目 > スイレン科 > コウホネ属

福岡県 2021/5/23
※分布図は目安です。

分布1,2):本州(中部地方以南)、四国、九州。国外では朝鮮半島。

沈水葉と浮葉の2種類を作り、水面から上に葉を出さないコウホネの仲間。葉柄が細いことも特徴の一つである。中部地方以南に分布するが、水路や河川の改修などによって数を減らしている。ベニオグラコウホネとは変種関係にある。

オグラコウホネの概要

花期1)6-10月
希少度★★★★(稀)
生活形多年生の浮葉植物
生育環境1,3)ため池や河川、水路

オグラコウホネの形態

浮葉

福岡県 2021/5/23

水上葉は卵形~広卵形、水に浮き、水面から上には出ない(抽水葉は作らない)。
いわゆるスイレン型で、基部が切れ込む。

福岡県 2021/5/23

葉身は長さ8-18㎝1)
他のコウホネの仲間と比べ、葉柄が細いのが特徴の一つ1)

沈水葉

福岡県 2021/5/23

浮葉とは別に、水中に沈水葉をつくる。

福岡県 2021/5/23

沈水葉は質が薄い(膜質)。
特に水流のある場所では、沈水葉のみの状態で生育・開花することもある。

福岡県 2021/5/23

花期は6-10(11)月1,2)
花の直径は2-3.5㎝1)

福岡県 2021/5/23

中心部にある柱頭盤は黄色。
変種のベニオグラコウホネはこの部分が赤い。

オグラコウホネの生育環境

福岡県 2021/5/23

ため池のほか、河川や水路など、流れのある場所に好んで生育する。
コウホネなどと比較し、より流水に適応した種であると考えられる3)
改修工事や水質の悪化により各地で激減している。

識別

コウホネの仲間は分類が難しく、交雑による変異もあるため注意が必要である。
以下の特徴が確認できればオグラコウホネと同定できる。
・葉柄が細く、中が中空である。
・浅い水深でも抽水葉を生じない。
・流れの弱い場所では沈水葉だけでなく、浮葉を生じる。
・花の柱頭盤が黄色い。

和名国内分布葉の形態柱頭盤備考
変種オグラコウホネ中部~九沈、浮黄色葉柄細く中空
変種ベニオグラコウホネ中国~九沈、浮赤色葉柄細く中空
変種オゼコウホネ北、本沈、浮赤色葉柄中実
変種ネムロコウホネ北、本沈、浮黄色葉柄中実
コウホネ北~九沈、浮、抽黄色本属で最も大型
サイコクヒメコウホネ本~九沈、浮、抽黄色雑種起源で多様
シモツケコウホネ栃木県赤色沈水植物
ヒメコウホネ東海沈、浮、抽黄~橙色全体小型
雑種サイジョウコウホネ本、九沈、浮、抽赤色コウホネ×ベニオグラ
雑種ホッカイコウホネ沈、浮、抽黄~赤色コウホネ×ネムロ/オゼ
雑種ナガレコウホネ栃木県沈、(抽)黄~赤色コウホネ×シモツケ
コウホネ属6種11分類群の特徴まとめ1,2,4)

文献

1)角野康郎 2014. 『ネイチャーガイド 日本の水草』文一総合出版.
2)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編)2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
3)藤井俊夫, 鈴木武, 麻生泉, 瀧華佐和子, 高島貴聖, 小野一 1999. 兵庫県三田市における絶滅危惧植物オグラコウホネ (スイレン科) の分布, 生育環境と形態. 人と自然 10: 41-48.
4)志賀隆 2007. A systematic study of Nuphar (Nymphaeaceae) in Japan with special reference to the role of hybridization. 博士論文. 京都大学.

編集履歴

2021/7/6 公開