ホッカイコウホネ Nuphar x hokkaiensis

植物 > 被子植物 > スイレン目 > スイレン科 > コウホネ属

北海道幌延町 2016/6/22
※分布図は目安です。

分布:北海道。日本固有。

コウホネとネムロコウホネの雑種とされる水草。北海道に分布する。両種の中間的な特徴を示し、しばしばネムロコウホネやオゼコウホネと間違われる。決して稀な存在ではなく、北海道でコウホネ類を見分ける際には注意が必要。

ホッカイコウホネの概要

花期7-8月?
希少度★★★(やや稀)
生活形多年生の浮葉~抽水植物
生育環境1)湖沼

ホッカイコウホネの形態

全体

北海道幌延町 2016/6/22


水深が深い場所では水面に葉を浮かべる(浮葉)。
より浅い場所では水面より上に出る葉(抽水葉)が混じる。

北海道幌延町 2016/6/22

葉はコウホネとネムロコウホネの中間の特徴を示す。
コウホネよりも小さく丸く、ネムロコウホネよりも大きく長い形。

北海道幌延町 2016/6/22

コウホネと比べ、抽水葉は出さずに浮葉植物となる傾向が強い。

北海道幌延町 2016/6/22

花は黄色で、柱頭盤は黄色~赤色(この写真では赤)。
コウホネ、ネムロコウホネあるいはオゼコウホネと似るが、開花後雄しべの花糸が著しく反り返ることが特徴1)

識別

北海道で見られるコウホネ類は本雑種の他にコウホネとオゼコウホネ、ネムロコウホネの3種がある。
以下の識別点のほか、花の形態も異なる(上記参照)。

コウホネは全体により大きく、葉は長く、抽水形態をとりやすい。

オゼコウホネネムロコウホネは抽水葉を作らず、葉が小さく丸い。

和名国内分布葉の形態柱頭盤備考
変種オグラコウホネ中部~九沈、浮黄色葉柄細く中空
変種ベニオグラコウホネ中国~九沈、浮赤色葉柄細く中空
変種オゼコウホネ北、本沈、浮赤色葉柄中実
変種ネムロコウホネ北、本沈、浮黄色葉柄中実
コウホネ北~九沈、浮、抽黄色本属で最も大型
サイコクヒメコウホネ本~九沈、浮、抽黄色雑種起源で多様
シモツケコウホネ栃木県赤色沈水植物
ヒメコウホネ東海沈、浮、抽黄~橙色全体小型
雑種サイジョウコウホネ本、九沈、浮、抽赤色コウホネ×ベニオグラ
雑種ホッカイコウホネ沈、浮、抽黄~赤色コウホネ×ネムロ/オゼ
雑種ナガレコウホネ栃木県沈、(抽)黄~赤色コウホネ×シモツケ
コウホネ属6種11分類群の特徴まとめ1,2,3)

文献

1)角野康郎 2014. 『ネイチャーガイド 日本の水草』文一総合出版.
2)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編)2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
3)志賀隆 2007. A systematic study of Nuphar (Nymphaeaceae) in Japan with special reference to the role of hybridization. 博士論文. 京都大学.

編集履歴

2021/7/11 公開