植物 > 被子植物 > スイレン目 > スイレン科 > コウホネ属
分布:北海道。日本固有。
コウホネとネムロコウホネの雑種とされる水草。北海道に分布する。両種の中間的な特徴を示し、しばしばネムロコウホネやオゼコウホネと間違われる。決して稀な存在ではなく、北海道でコウホネ類を見分ける際には注意が必要。
ホッカイコウホネの概要
花期 | : | 7-8月? |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
生活形 | : | 多年生の浮葉~抽水植物 |
生育環境1) | : | 湖沼 |
ホッカイコウホネの形態
全体
水深が深い場所では水面に葉を浮かべる(浮葉)。
より浅い場所では水面より上に出る葉(抽水葉)が混じる。
葉
葉はコウホネとネムロコウホネの中間の特徴を示す。
コウホネよりも小さく丸く、ネムロコウホネよりも大きく長い形。
コウホネと比べ、抽水葉は出さずに浮葉植物となる傾向が強い。
花
花は黄色で、柱頭盤は黄色~赤色(この写真では赤)。
コウホネ、ネムロコウホネあるいはオゼコウホネと似るが、開花後雄しべの花糸が著しく反り返ることが特徴1)。
識別
北海道で見られるコウホネ類は本雑種の他にコウホネとオゼコウホネ、ネムロコウホネの3種がある。
以下の識別点のほか、花の形態も異なる(上記参照)。
コウホネは全体により大きく、葉は長く、抽水形態をとりやすい。
オゼコウホネ、ネムロコウホネは抽水葉を作らず、葉が小さく丸い。
和名 | 国内分布 | 葉の形態 | 柱頭盤 | 備考 |
---|---|---|---|---|
変種オグラコウホネ | 中部~九 | 沈、浮 | 黄色 | 葉柄細く中空 |
変種ベニオグラコウホネ | 中国~九 | 沈、浮 | 赤色 | 葉柄細く中空 |
変種オゼコウホネ | 北、本 | 沈、浮 | 赤色 | 葉柄中実 |
変種ネムロコウホネ | 北、本 | 沈、浮 | 黄色 | 葉柄中実 |
コウホネ | 北~九 | 沈、浮、抽 | 黄色 | 本属で最も大型 |
サイコクヒメコウホネ | 本~九 | 沈、浮、抽 | 黄色 | 雑種起源で多様 |
シモツケコウホネ | 栃木県 | 沈 | 赤色 | 沈水植物 |
ヒメコウホネ | 東海 | 沈、浮、抽 | 黄~橙色 | 全体小型 |
雑種サイジョウコウホネ | 本、九 | 沈、浮、抽 | 赤色 | コウホネ×ベニオグラ |
雑種ホッカイコウホネ | 北 | 沈、浮、抽 | 黄~赤色 | コウホネ×ネムロ/オゼ |
雑種ナガレコウホネ | 栃木県 | 沈、(抽) | 黄~赤色 | コウホネ×シモツケ |
文献
1)角野康郎 2014. 『ネイチャーガイド 日本の水草』文一総合出版.
2)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編)2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
3)志賀隆 2007. A systematic study of Nuphar (Nymphaeaceae) in Japan with special reference to the role of hybridization. 博士論文. 京都大学.
編集履歴
2021/7/11 公開