シマゴショウ Peperomia boninsimensis

植物 > 被子植物 > コショウ目 > コショウ科 > サダソウ属

小笠原諸島母島 2018/11/3
※分布図は目安です。

分布:小笠原諸島固有種(父島、兄島、母島、火山列島)1,3)

小笠原諸島に固有のコショウ科の多肉質草本。岩や老木の上に着生し、サダソウと同属である。葉先が尖り、全体無毛なのが特徴とされる。系統解析の結果、日本の種よりもポリネシア産の種に近縁であることが分かっている。

シマゴショウの概要

花期3)4月
希少度★★★(やや稀)
大きさ3)高さ10-30㎝
生活形多年草
生育環境3)山地の岩や老木などに着生
学名boninsimensis「小笠原諸島の」

シマゴショウの形態

小笠原諸島母島 2018/11/3

葉は長さ1.5-4㎝、全縁で多肉質3)
幼い個体では互生するが、成長すると対生~3輪生する3)
卵状~倒卵状楕円形で葉先は尖る。
表面には不明瞭な3脈があり、凹む。

小笠原諸島母島 2018/11/3

葉裏。
基部で分かれる3脈がある。
葉や茎は全体無毛である1,3)

花序は穂状で長さ3-7㎝、茎の先に2-5本出る3)

シマゴショウの毛

小笠原諸島母島 2018/11/3

シマゴショウは全草無毛であることが大きな特徴の一つとされるが、母島で見たこの個体は有毛であった。
毛のある個体の存在は文献にも見つからず、詳細は不明。

小笠原諸島母島 2018/11/3

同じ写真を拡大したもの。
茎・葉ともに短毛が生えていることが分かる。
毛以外の特徴はシマゴショウと一致するように思われるが、何かご存知・お気づきの方はご教示いただけると幸いである。

識別

小笠原諸島における識別

小笠原諸島に産する植物で、木や岩に着生し、3脈が目立ち、葉が多肉質であるものは他になく、識別は難しくない。
オオシラタマカズラはつる性木本で、葉が常に対生し、葉身長が4-10㎝と大きく、3行脈ではない。
オガサワラシコウランは同じような環境で見られるが、葉が大型で細長く、茎が立ち上がることはない。

サダソウ属の他種との識別

国内には本種を含めて2種のサダソウ属植物が分布する。
サダソウは最も広い分布を持ち、シマゴショウと異なり茎や葉が有毛である。また、シマゴショウの葉は先が尖る(鋭頭)のに対して、サダソウの葉先は丸い。
オキナワスナゴショウはサダソウの変種で、全体無毛である。もともとは独立種として記載されたが、いまではサダソウに含める考えが主流である。

和名学名国内分布
(オキナワスナゴショウ)P. japonica var. okinawensis沖永良部島、沖縄島、大東諸島
サダソウP. japonica四国南部、九州南部~琉球
シマゴショウP. boninsimensis小笠原(父島・母島・南硫黄島)

シマゴショウの分類

DNAを利用した系統解析の結果、シマゴショウは日本のサダソウやオキナワスナゴショウよりもポリネシア産の種に近縁であることがわかっている4)

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
3)豊田武司 2014. 『小笠原諸島 固有植物ガイド』ウッズプレス.
4)Kobayashi Y. H., Fuse S., Tamura M. N. 2019. Biosystematic Studies on the Family Piperaceae (Piperales) I. Plastid DNA Phylogeny and Chromosome Number of Peperomia subgenus Micropiper. Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 70(1):1-17.

編集履歴

2021/8/25 公開
2021/9/1 オキナワスナゴショウをサダソウの変種に変更、DNA解析の情報を追加