植物 > 被子植物 > コショウ目 > ウマノスズクサ科 > カンアオイ属
西日本に分布するカンアオイの仲間。キンチャク状に強くくびれる形の花が特徴的である。近畿地方では最も広く普通に見られるカンアオイの一つ。ギフチョウの食草としても知られる。
ミヤコアオイの概要

花期1) | : | 3-4月 |
希少度 | : | ★★(普通) |
生活形 | : | 常緑性の多年草 |
生育環境1) | : | 低山地の広葉樹林下 |
学名2) | : | asper「ざらざらした」 |
ミヤコアオイの形態
葉
花
ミヤコアオイの種内変異
ミヤコアオイの変種としてツチグリカンアオイvar. geasterが四国南東部から知られている。
ツチグリカンアオイは母種に似るが、花が肉厚で萼裂片の表面にしわ状の隆起がある1)。
識別
カンアオイ属は国内に58種ほどあり、形態での識別には花の観察が重要である(一覧と分類はこちら)。
本種の花は萼筒が上部で著しくくびれるという大きな特徴があり、類似種は限られる。
同様に萼筒上部がくびれる他種との識別
サンヨウアオイA. hexalobum var. hexalobumは中国・四国・九州に分布し、萼筒が上下に押しつぶされたような扁球形で、内壁には縦襞6本が目立つ。ミヤコアオイでは萼筒は基部の広い台形~筒形で、内壁には縦横両方の襞が目立つ。花を真横から観察すれば花を分解せずとも識別可能。サンヨウアオイの変種とされるキンチャクアオイvar. perfectum(四国、九州)も同様。
サカワサイシン(高知、愛媛)やトサノアオイ(高知)も萼筒が強くくびれるが、萼筒の襞が縦襞のみという点で識別できる。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
編集履歴
2021/8/12 公開
2025/1/26 識別の項を加筆修正