ヒメウラシマソウ Arisaema kiushianum

植物 > 被子植物 > オモダカ目 > サトイモ科 > テンナンショウ属

福岡県 2021/5/23
※分布図は目安です。

分布1,2):山口県、九州。日本固有種。

山口県と九州に分布するテンナンショウの仲間。仏炎苞に入る美しい模様が特徴的である。付属体は長く伸びるが、ウラシマソウよりは短い。シカの忌避植物で、ほぼ裸地と化したような食害の激しい場所でも見られる。

ヒメウラシマソウの概要

花期2)5月ごろ。
希少度★★★(やや稀)
生活形多年草
生育環境2)林下、主に斜面に生える
学名kiushianum「九州の」

ヒメウラシマソウの形態

福岡県 2021/5/23

花序は地際につき、付属体は先が糸状となり長く伸びる。

長崎県対馬 2022/5/4

仏炎苞には特徴的な筋状の斑紋が入り美しい。
口部は耳状に張り出す。

福岡県 2021/5/23

舷部内面には白いT字状の斑紋が目立つ。

福岡県 2021/5/23

付属体は基部でやや太く、先は糸状となりウラシマソウほどではないが長く伸びる。

福岡県 2021/5/23

葉は1個で鳥足状に分裂する3)
小葉は7~13枚と、ウラシマソウやナンゴクウラシマソウより少ない2)
小葉は中央のものが最も大きく、外側で急に小さくなるのも特徴2)

福岡県 2021/5/23

ウラシマソウと同様、球茎には小イモを生じ群生する2)

果実

果実は11月ごろ熟す2)

識別

ウラシマソウナンゴクウラシマソウは小葉の枚数が多く、花序の色彩が異なる。
花があれば迷うことはないが、葉にも違いがある。
詳細はウラシマソウのページを参照。

ヒメウラシマソウの生態

性転換

テンナンショウ属の多くの種と同様、雌雄偽異株。
すなわち小さいときは雄株で、年数を経て大きくなると雌株となる。

分類

ウラシマソウのページを参照。

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)邑田仁・大野順一・小林禧樹・東馬哲雄 2018. 『日本産テンナンショウ属図鑑』北隆館.
3)門田裕一・永田芳男・畔上能力 2013. 『山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 増補改訂新版』山と溪谷社.

編集履歴

2024/12/9 公開