ビャクシン(ネズミサシ)属 Juniperus

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ビャクシン属の概要

常緑の針葉樹で、葉は鱗片状または針状、種によってはその両方が混生する。世界に60種、日本に5種がある1)

日本産ビャクシン属種一覧

和名学名国内分布
イブキJuniperus chinensis北~九
シマムロ/オキナワハイネズJuniperus taxifolia本・小笠原
ネズJuniperus rigida本・四・九
ハイネズJuniperus conferta北・本・九
ミヤマネズ/ホンドミヤマネズ/リシリビャクシンJuniperus communis北・本

識別【ビャクシン属の見わけかた】

イブキ(ビャクシン)とその変種は鱗片葉を生じるため識別は容易。
その他の種では樹形(這うかどうか)、気孔帯の本数などがポイントになる。
また、分布や生育環境も大きな手掛かりになる。

イブキ(ビャクシン)ネズハイネズミヤマネズシマムロ/オキナワハイネズ
分布北海道~九州本州、四国、九州北海道、本州、九州北海道、本州小笠原/本州~琉球
環境海岸/高山丘陵海岸高山尾根/海岸
葉形鱗状/針状針状針状針状針状
樹形匍匐~直立直立匍匐匍匐~斜上匍匐~直立
気孔帯2本1本(細い)1本(細い)1本(太い)2本(太い)
日本産ビャクシン属5種の特徴まとめ

イブキ(ビャクシン)

イブキ(カイヅカイブキ)

針形葉だけでなく、鱗のような形の葉(鱗片葉)を生じるために簡単に識別できる。北海道~九州に分布し、自生は稀。イブキ・ハイビャクシン・ミヤマビャクシンといった変種があるほか、栽培品種カイヅカイブキがよく栽培される。

ネズ(ネズミサシ)

ネズ
ネズ
ネズ

葉の白い気孔帯は1本。樹形は直立し、内陸の丘陵などに生育する。低地で普通に見られ、他種との識別に迷うことはあまりない。本州、四国、九州に分布する。

シマムロ/オキナワハイネズ

変種シマムロ
変種シマムロ
変種シマムロ

葉に幅の広い白い気孔帯が2本あることが大きな特徴。時に2本がほぼ癒合し1本に見えるが、ハイネズよりも明らかに幅広い点に注目。変種シマムロは小笠原の尾根などに普通、変種オキナワハイネズは房総半島~琉球の海岸に稀に生える。

ハイネズ

ハイネズ
ハイネズ
ハイネズ

葉の気孔帯は細く、1本。海岸に生え、樹形は這う。北海道、本州、九州にやや稀に分布する。オキナワハイネズは気孔帯が2本でより幅広い。

ミヤマネズ/ホンドミヤマネズ/リシリビャクシン

変種ホンドミヤマネズ
変種ホンドミヤマネズ

葉の気孔帯は1本で太い。高山に生え、樹形は這う~斜上する。北海道、本州(北部、中部)に分布し、3変種に分かれている(ホンドミヤマネズのページ参照)

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編)2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.

編集履歴

2021/7/1 公開
2021/10/31 識別の項目を追加