植物 > 裸子植物 > ヒノキ目 > ヒノキ科 > ビャクシン属
分布1):本州(尾瀬至仏山~加賀白山)。種としては北海道~本州(中部地方以北)、国外では広域分布種。
高山に生える針葉樹。這う樹形が特徴的。ミヤマネズ、リシリビャクシンとは変種同士の関係にある。
ホンドミヤマネズの概要
花期1) | : | 6-7月 |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
生活形 | : | 匍匐性の常緑木本 |
生育環境 | : | 高山帯 |
学名3) | : | communis「群生する、ふつうの」 |
ミヤマネズ、ホンドミヤマネズ、リシリビャクシン
広義のミヤマネズ(セイヨウネズ)のうち、国内のものは変種ミヤマネズ、変種ホンドミヤマネズ、変種リシリビャクシンの3変種に分類される。
それぞれの特徴は以下の通り1)。
ミヤマネズ | ホンドミヤマネズ | リシリビャクシン | |
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学名 | var. nipponica | var. hondoensis | var. montana |
分布 | 北海道アポイ岳、本州(北部の高山) | 本州(尾瀬至仏山~加賀白山) | 北海道 |
葉形 | わずかに曲がる | わずかに曲がる | 著しく弓状に曲がる |
気孔帯 | 0.3-0.4㎜ | 0.7-0.9㎜ | 0.5㎜前後 |
なお、基変種のセイヨウネズvar. communisはヨーロッパから北米、西アジア、北アフリカに分布し、葉はまっすぐで曲がらない1)。
ホンドミヤマネズの形態
葉
葉はやや弓状に曲がる。
葉表の白い部分(気孔帯)は変種ミヤマネズや変種リシリビャクシンよりも太い。
識別
日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。
ミヤマネズ(広義)とイブキ、ネズ、ハイネズ、シマムロの見分け方
国内のビャクシン(ネズミサシ)属には他にイブキ、ネズ、ハイネズ、シマムロ(オキナワハイネズ)の4種がある。
イブキは葉に2形があり、多くが鱗状であることで容易に識別可能。
ネズは幹が直立し、内陸の丘陵地に生えるため、ふつう迷うことはない。
ハイネズは海岸に生え、ミヤマネズ(広義)とは生育環境が異なる。気孔帯はミヤマネズよりも細く、また深い溝状になる。
シマムロ(オキナワハイネズ)は葉の白い部分(気孔帯)が2本あることで明確に見分けられる。
イブキ | ネズ | ハイネズ | ミヤマネズ | シマムロ | |
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分布 | 北~九 | 本・四・九 | 北・本・九 | 北・本 | 本・小笠原 |
環境 | 海岸/高山 | 丘陵 | 海岸 | 高山 | 尾根 |
葉形 | 鱗状/針状 | 針状 | 針状 | 針状 | 針状 |
樹形 | 匍匐~直立 | 直立 | 匍匐 | 匍匐~斜上 | 匍匐~直立 |
気孔帯 | 2本 | 1本(細い) | 1本(細い) | 1本(太い) | 2本(太い) |
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
編集履歴
2021/7/1 公開