カワトンボ科 Calopterygidae

昆虫 > トンボ目

カワトンボ科の概要

広義のイトトンボの仲間(均翅亜目)に属するトンボの仲間。
世界に21属186種、日本に5属7種が分布している1)

カワトンボ科掲載種一覧

日本産全7種を掲載。

キヌバカワトンボ属 Psolodesmus

クロイワカワトンボ P. kuroiwae

八重山に分布。雌は翅端の褐色部分が広い。
石垣島・西表島にはミナミカワトンボ科のコナカハグロトンボ、チビカワトンボも分布するが、
翅の先端のみが褐色となるのはクロイワカワトンボだけであるため識別は容易。

カワトンボ属 Mnais

ニホンカワトンボ M. costalis

北海道~九州。翅色に多型・地理変異がありアサヒナカワトンボと酷似する。
アサヒナカワトンボと比べ、①胸部が大きく、②翅脈が細かく、③縁紋が細長い傾向がある。

アサヒナカワトンボ M. pruinosa

関東~九州。翅色に多型・地理変異がありニホンカワトンボと酷似する。
ニホンカワトンボより、①胸部が小さく、②翅脈が粗く、③縁紋が太短い傾向がある。

アオハダトンボ属 Calopteryx

アオハダトンボ C. japonica

東北~九州(四国を除く)。少ない種。翅は黒い。
オスはハグロトンボに似るが、体の光沢が強く、腹部先端下面に白色部がある。
メスには白い偽縁紋があるため識別しやすい。

ミヤマカワトンボ C. cornelia

北海道~九州。渓流に生息する。日本産均翅亜目で最大。
翅は褐色で先端付近に濃い褐色の帯があり、特徴的で分かりやすい。
メスには白い偽縁紋がある。

ハグロトンボ属 Atrocalopteryx

ハグロトンボ A. atrata

東北~九州。平地~丘陵地でふつうに見られる。翅は黒い。
アオハダトンボに似るが、オスには腹部先端に白色部がない。メスには偽縁紋がない。
またアオハダトンボよりも翅が細長い。

タイワンハグロトンボ属 Matrona

リュウキュウハグロトンボ M. japonica

奄美群島、沖縄諸島。両地域間で翅色に差異がある。
オスは翅の付け根が青白色。雌には白い偽縁紋がある。同所的に類似種はいない。

日本産カワトンボ科一覧

5属7種が知られており、すべて土着種である。
分類、配列は尾園ら(2021)1)による。

属名種名国内分布
キヌバカワトンボ属クロイワカワトンボ Psolodesmus kuroiwae八重山
カワトンボ属ニホンカワトンボ Mnais costalis北海道~九州
アサヒナカワトンボ Mnais pruinosa関東~九州
アオハダトンボ属アオハダトンボ Calopteryx japonica東北~九州
ミヤマカワトンボ Calopteryx cornelia北海道~九州
ハグロトンボ属ハグロトンボ Atrocalopteryx atrata東北~九州
タイワンハグロトンボ属リュウキュウハグロトンボ Matrona japonica奄美、沖縄

文献

1)尾園暁・川島逸郎・二橋亮 2021. 『日本のトンボ 改訂版』文一総合出版.

編集履歴

2022/6/4 公開