トンボ目 Odonata

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トンボ目の概要

トンボ目はカゲロウ目と並び、翅を持つ昆虫の中で最も祖先的なグループであると考えられている1)
目名Odonataは「歯を持つ」という意味のラテン語に由来し、発達した大顎を表している1)

通常トンボと呼ばれている昆虫はすべてこのグループに入るが、ヘビトンボの仲間は名前にトンボとつくものの全く違うグループに属する昆虫である。

トンボ目の分類

3つの亜目

トンボ目は大きく以下の3グループに分けられており、それぞれ単系統性が認められている。

  • 均翅亜目 Zygoptera:カワトンボ科やイトトンボ科などを含むグループで、前後の翅の形がほぼ同じであることから名づけられている。3亜目の中では最も祖先的なグループである。
  • ムカシトンボ亜目 Anisozygoptera:均翅亜目と不均翅亜目の中間的な特徴を持つ特殊な分類群で、世界に1属4種、日本にはムカシトンボ1種のみが知られている1)。系統的には不均翅亜目により近縁であり2)、不均翅亜目に含めて扱うべきとの意見もある1)が、ここでは慣例に従い3亜目とした。
  • 不均翅亜目 Anisoptera:ヤンマ科やサナエトンボ科、トンボ科などを含むグループで、後翅の基部が後方へと張り出す種が多い1)

なお、外国産を含めたトンボ目の系統樹に関してはBybee et al. (2021)2)によくまとめられているので参照されたい。

既知種数について

2021年8月30日現在、全世界で記載されているトンボ目の種数は6336種である。
世界の最新の既知種数、および種の一覧はWorld Odonata List3)としてネット上で自由に閲覧・ダウンロードできる。

日本産科一覧

日本では2021年2月時点で、移入記録3種を除き3亜目17科86属204種のトンボが記録されていた1)
これに加え、2022年に対馬でモノサシトンボ科のチョウセングンバイトンボが発見されたとの報告がなされたことで、日本産トンボは205種となった。
以下に日本産の科の一覧と既知種数を挙げる。
分類および学名、和名、配列は尾園ら(2021)1)による。

均翅亜目 Zygoptera

和名学名在来種数
アオイトトンボ科Lestidae3属7種
カワトンボ科Calopterygidae5属7種
トゲオトンボ科Rhipidolestidae1属7種
ハナダカトンボ科Chlorocyphidae1属2種
ミナミカワトンボ科Euphaeidae2属2種
モノサシトンボ科Platycnemididae3属7種
イトトンボ科Coenagrionidae11属27種

ムカシトンボ亜目 Anisozygoptera

和名学名在来種数
ムカシトンボ科Epiophlebiidae1属1種

不均翅亜目 Anisoptera

和名学名在来種数
ヤンマ科Aeshnidae9属23種
サナエトンボ科Gomphidae15属27種
ムカシヤンマ科Petaluridae1属1種
オニヤンマ科Cordulegastridae1属2種
ミナミヤンマ科Chlorogomphidae1属3種
オセアニアモリトンボ科Synthemistidae1属1種
エゾトンボ科Corduliidae4属13種
ヤマトンボ科Macromiidae2属6種
トンボ科Libellulidae25属69種

文献

1)尾園暁・川島逸郎・二橋亮 2021. 『日本のトンボ 改訂版』文一総合出版.
2)Bybee S. M., Kalkman V. J., Erickson R. J., Frandsen P. B., Breinholt J. W., Suvorov A. et al. 2021. Phylogeny and classification of Odonata using targeted genomics. Molecular Phylogenetics and Evolution 160:107115.
3)Paulson D., Schorr M., Deliry C 2021. 『World Odonata List 20210830』https://www2.pugetsound.edu/academics/academic-resources/slater-museum/biodiversity-resources/dragonflies/world-odonata-list2/ 2021/9/1閲覧.

編集履歴

2021/9/1 公開
2024/1/11 日本産種数についてアップデート
2024/3/13 概要欄に追記