植物 > 被子植物 > オモダカ目 > サトイモ科 > テンナンショウ属
長崎県雲仙岳に固有のテンナンショウの仲間。糸状に細くなる付属体が特徴的な種で、ツクシマムシグサに近縁と考えられる。
ウンゼンマムシグサの概要
![](https://zassou-ya.com/ssp/wp-content/uploads/2023/12/花期:4-5月-1024x98.jpg)
花期2) | : | 4-5月ごろ |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
生活形 | : | 多年草 |
生育環境1) | : | 山地の林縁など |
学名 | : | unzenense「雲仙の」 |
ウンゼンマムシグサの形態
花
葉・全草
識別
本種は分布が局限され、長崎県の雲仙岳にのみ生育している。
そのうえ、付属体が糸状に細くなるという顕著な特徴を有しているため、識別に迷うことは少ない。
同所的に見られるツクシマムシグサは時によく似る。ウンゼンマムシグサと比較し、付属体はより太く、舷部はより長く伸び、舷部の白条がしばしば半透明に広がる。葉は通常1個だが大型のものでは2個のこともある(ウンゼンマムシグサでは通常2個、小型のものでは時に1個)。変異があるため、株によっては識別に困ることもあるかもしれない。
またキリシマテンナンショウも同所的に見られるが、花序は低い位置につき、仏炎苞の形状や色彩が大きく異なるため識別は容易。
ウンゼンマムシグサの生態
性転換
雌雄偽異株で、株の成長に伴い雄株から雌株に性転換する2)。
分類
本種はツクシマムシグサに似るが明らかに異なる分類群として、1982年に芹沢によって記載された3)。
それによると、本種は初めナガハシマムシソウA. angustifoliatumと同定され、その後タシロテンナンショウ(ツクシヒトツバテンナンショウ)の変種A. tashiroi var. unzenseとして仮称された経緯があるという。
しかしタシロテンナンショウとの共通点は少ないとして、ツクシマムシグサに近縁の独立種として扱うのが適当とされた3)。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)邑田仁・大野順一・小林禧樹・東馬哲雄 2018. 『日本産テンナンショウ属図鑑』北隆館.
3)芹沢俊介. (1982). 日本産テンナンショウ属の再検討 (6) ツクシマムシグサ群. 植物研究雑誌, 57(3), 85-90.
編集履歴
2025/1/11 公開