モノサシトンボ科の概要
広義のイトトンボの仲間(均翅亜目)に属するトンボの仲間。
世界に42属475種、日本に3属7種が分布している3)。
2021年、対馬から日本初記録となるチョウセングンバイトンボが発見され、2022年に報告された。
モノサシトンボ科掲載種一覧
日本産7種のうち4種を掲載。
ルリモントンボ属 Coeliccia
石垣島、西表島に分布。山地の渓流沿いで見られる。
雌雄の体色に大きな差はなく、成熟しても通常は黄色のままだが、稀に胸部が青みを帯びる「青色型」が出現するという1,4)。
奄美群島にアマミルリモントンボssp. amamii、沖縄諸島に基亜種がそれぞれ分布する。
亜種によって腹部先端の色彩などに違いがある。
メスにはオスと同じ青色になる個体と、成熟しても黄色のままの個体がいる。
グンバイトンボ属 Platycnemis
東北~九州に分布。
オスは中・後脚が白く広がり非常に特徴的で間違うことはない。
メスはモノサシトンボによく似るが、後頭条がある点が異なる。
また本種のメスは成熟しても水色になることはない。
青森、山形、福島、新潟、長野の各県に分布。
オスは中・後脚が白く広がり非常に特徴的で間違うことはない。
メスはモノサシトンボによく似るが、後頭条がある点が異なる。
また本種のメスは成熟しても水色になることはない。
モノサシトンボ属 Pseudocopera
北海道~九州に分布。本土産の本科の中では最も普通に見られる。
イトトンボ科のトンボとよく間違われるが、本種はやや大型で頭部が幅広い。
オスは成熟すると水色になるが、メスは水色になるものと黄緑色のままのものがいる。
日本産モノサシトンボ科一覧
3属7種が分布している。
属名 | 種名1,3) | 国内分布1,4) |
---|---|---|
ルリモントンボ属 | マサキルリモントンボ Coeliccia flavicauda | 石垣島、西表島 |
リュウキュウルリモントンボ Coeliccia ryukyuensis | 奄美群島、沖縄諸島固有 | |
グンバイトンボ属 | グンバイトンボ Platycnemis sasakii | 東北~九州固有 |
チョウセングンバイトンボ Platycnemis phyllopoda | 対馬 | |
アマゴイルリトンボ Platycnemis echigoana | 東北~中部固有 | |
モノサシトンボ属 | モノサシトンボ Pseudocopera annulata | 北海道~九州 |
オオモノサシトンボ Pseudocopera rubripes | 宮城、新潟、関東 |
※リュウキュウルリモントンボは亜種アマミルリモントンボamamiiを含む。
分類
モノサシトンボ科はイトトンボ科Coenagrionidaeと最も近縁。
オーストラリアなどに分布するIsostictidaeとあわせ、3科でイトトンボ上科Coenagrionoideaを形成する。
グンバイトンボは中国に分布するPlatycnemis foliaceaの亜種とされてきたが、2021年に独立種となり、日本固有種となった。
文献
1)尾園暁・川島逸郎・二橋亮 2021. 『日本のトンボ 改訂版』文一総合出版.
2)Bybee S. M., Kalkman V. J., Erickson R. J., Frandsen P. B., Breinholt J. W., Suvorov A. et al. 2021. Phylogeny and classification of Odonata using targeted genomics. Molecular Phylogenetics and Evolution 160:107115.
3)Paulson D., Schorr M., Deliry C 2022. 『World Odonata List 20220526』https://www2.pugetsound.edu/academics/academic-resources/slater-museum/biodiversity-resources/dragonflies/world-odonata-list2/ 2022/6/10閲覧.
4)尾園暁・渡辺賢一・焼田理一郎・小浜継雄 2007. 『沖縄のトンボ図鑑』いかだ社.
編集履歴
2022/6/10 公開