植物 > 被子植物 > コショウ目 > コショウ科 > サダソウ属
小笠原諸島に固有のコショウ科の多肉質草本。岩や老木の上に着生し、サダソウと同属である。葉先が尖り、全体無毛なのが特徴とされる。系統解析の結果、日本の種よりもポリネシア産の種に近縁であることが分かっている。
シマゴショウの概要

花期3) | : | 4月 |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
大きさ3) | : | 高さ10-30㎝ |
生活形 | : | 多年草 |
生育環境3) | : | 山地の岩や老木などに着生 |
学名 | : | boninsimensis「小笠原諸島の」 |
シマゴショウの形態
葉
花
花序は穂状で長さ3-7㎝、茎の先に2-5本出る3)。
シマゴショウの毛
識別
小笠原諸島における識別
小笠原諸島に産する植物で、木や岩に着生し、3脈が目立ち、葉が多肉質であるものは他になく、識別は難しくない。
オオシラタマカズラはつる性木本で、葉が常に対生し、葉身長が4-10㎝と大きく、3行脈ではない。
オガサワラシコウランは同じような環境で見られるが、葉が大型で細長く、茎が立ち上がることはない。
サダソウ属の他種との識別
サダソウは最も広い分布を持ち、シマゴショウと異なり茎や葉が有毛である。また、シマゴショウの葉は先が尖る(鋭頭)のに対して、サダソウの葉先は丸い。
オキナワスナゴショウ(ケナシサダソウ)は1992年に独立種として記載されたが5)、DNA解析の結果からサダソウの変種として扱うことが妥当とされた4)。そのため本サイトでは日本産サダソウ属を2種とする説に従う。
和名 | 学名 | 国内分布 |
---|---|---|
変種オキナワスナゴショウ | P. japonica var. okinawensis | 沖永良部島、沖縄島、大東諸島 |
サダソウ | P. japonica | 四国南部、九州南部~琉球 |
シマゴショウ | P. boninsimensis | 小笠原(父島・母島・南硫黄島) |
サダソウ属について
一年草または多年草1)。
世界の主に熱帯地方に約600種があり、日本には2種がある(上記「識別」の項参照)1)。
分類
DNAを利用した系統解析の結果、シマゴショウは日本のサダソウやオキナワスナゴショウよりもポリネシア産の種に近縁であることがわかっている4)。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
3)豊田武司 2014. 『小笠原諸島 固有植物ガイド』ウッズプレス.
4)Kobayashi Y. H., Fuse S., Tamura M. N. 2019. Biosystematic Studies on the Family Piperaceae (Piperales) I. Plastid DNA Phylogeny and Chromosome Number of Peperomia subgenus Micropiper. Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 70(1):1-17.
5)Yamazaki T. 1992. A new species of Peperomia from the Ryukyus. 植物研究雑誌 67:15-18.
編集履歴
2021/8/25 公開
2021/9/1 オキナワスナゴショウをサダソウの変種に変更、DNA解析の情報を追加
2025/1/26 サダソウ属についての項を追加、識別の項に追記