植物 > 裸子植物 > ヒノキ目 > ヒノキ科 > ヒノキ属
分布1):本州(岩手県以南)、九州
ヒノキによく似た針葉樹。葉裏の白い部分(気孔帯)の形を確認すると分かりやすい。原種よりもヒヨクヒバなどの園芸品種を目にする機会のほうが多いかもしれない。
サワラの概要
花期1) | : | 4月 |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
大きさ1) | : | 高さ約30m |
生活形 | : | 常緑高木 |
生育環境2) | : | 冷温帯の山地の谷沿いや岩場 |
学名3) | : | pisiferus「豆がなる」 |
サワラの形態
葉
葉はヒノキに似るが、ヒノキよりも尖っている。
葉裏の白い部分(気孔帯)はH(X)字型をしており、ヒノキと明らかに異なっている。
識別
日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。
サワラとヒノキ、アスナロ、ネズコの識別
葉裏の気孔帯(白い部分)を見ると分かりやすい。ヒノキはY、サワラはH(またはX)、アスナロはWに例えられる形をしている。
また、ネズコ(クロベ)はヒノキを太くしたような葉をしており、気孔帯が薄く目立たない。
ヒノキ | サワラ | アスナロ | ネズコ | |
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属名 | ヒノキ属 | ヒノキ属 | アスナロ属 | ネズコ属 |
分布 | 本・四・九 | 本・九 | 本・四・九 | 本・四 |
葉裏の気孔帯 | Y字型で細い | H(X)字型で太い | W字型で太い | 緑白色で不明瞭 |
サワラの園芸品種
サワラにはヒムロ、オウゴンシノブヒバ、オウゴンヒヨクヒバなど多くの園芸品種がある。
サワラの園芸品種の1つ、タマヒムロ。
タマヒムロの葉。ヒムロと同じく、原種のサワラとは似ても似つかない葉をしている。
サワラとヒノキの雑種について
サワラとヒノキは同属であり、雑種が形成される場合がある。
「富士2号」などはその例であるが、この組み合わせの雑種は基本的に稔性が低く、次の世代が生まれにくい4)。
材質のよいヒノキと、生長の速いサワラの特性を併せ持つ品種の育成を目指して品種改良がおこなわれてきたが、いまだに広く利用される品種の開発には至っていないようである。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
4)福原楢勝 1989. ヒノキとサワラの種間交雑の稔性と雑種の識別. 林業試験場研究報告 354:1-38.
編集履歴
2021/7/1 公開