植物 > 被子植物 > コショウ目 > ドクダミ科 > ハンゲショウ属
分布:本州~琉球1,3)。国外では朝鮮半島、中国、ベトナム、フィリピン、インド。
国内に2種あるドクダミの仲間のうちの1種。花の時期になると上部の葉が白くなってよく目立つ。環境のよい湿地に生え、保護活動が行われている地域もある。
ハンゲショウの概要
花期1) | : | 6-8月 |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
大きさ1) | : | 草丈50-100㎝ |
生活形 | : | 多年草 |
生育環境1) | : | 低地の水辺や湿地 |
学名2) | : | chinensis「中国産の」 |
別名1) | : | カタシログサ |
ハンゲショウの形態
葉
葉は長さ5-15㎝で互生する1)。基部は心形(ハート形)。
この写真のように抽水状態で生育することもある。
葉の表面には基部で分かれる5-7脈があり、花時には花序に近い数枚が白くなる1)。
花
花序は穂状で長さ10-15㎝になり、多数の花をつける。
花序ははじめ下向きに垂れ下がり、その後上を向く1)。
遠くからだと花序そのものよりも白くなった葉が目立つ。
生育環境
ため池畔などの湿地に群生し、しばしば抽水状態になる(根元が水に浸かるように生える)。
識別
花の時期に上部の葉が白くなって目立つ様子は特異で、同様の特徴を持つのはマタタビの仲間くらい。
マタタビは山地に生えるつる性木本で、花の形も異なるため区別は容易。
花のない時期には葉も白くないため、葉の形での識別が必要。
湿地に生える植物であまり似たものはなく、葉身に5-7脈があること、基部が心形で葉先が尖ること、茎が直立することなどを確認すれば識別できる。
なお、同じ科に属するドクダミは薄暗い湿った場所に生え、葉はより小型の心形で特異な臭気を持ち、花には4枚の白い総苞片が目立つ。通常識別に迷うことはない。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
3)琉球の植物研究グループ 国立科学博物館 2018-.『琉球の植物データベース』 https://www.kahaku.go.jp/research/activities/project/hotspot_japan/ryukyus/db/ 2021/8/21閲覧.
編集履歴
2021/8/24 公開