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コショウと近縁なつる性の常緑木本。暖地の海沿いに普通に見られ、照葉樹林の林内や林縁に生える。雌雄異株で、春~初夏に細長く目立つ花序をつける。葉をちぎるとコショウに似た香りがすることも特徴。
フウトウカズラの概要

花期1) | : | 4-5月 |
希少度 | : | ★★(普通) |
生活形 | : | 常緑つる性木本 |
生育環境5) | : | 海岸近くの照葉樹林内や林縁 |
学名 | : | kadsura:日本語の「かずら(つる植物)」からと考えられる |
フウトウカズラの形態
葉
花
根
フウトウカズラの生育環境
識別
海岸の照葉樹林に生えるつる性木本で、葉形がやや似るものはイタビカズラの仲間くらいである。
イタビカズラは本種よりも葉形が細長い傾向があり、葉裏の側脈はフウトウカズラよりも明瞭に浮き出る。また、フウトウカズラのように基部で分岐する5本前後の葉脈が目立つことはない。
オオイタビやヒメイタビは本種ほど葉が尖らず、葉裏の葉脈が細脈に至るまで明瞭に浮き出て目立つ。
また、ウコギ科のキヅタも同様の環境に生える場合があるが、葉の表面に光沢があり、葉柄が長く、葉身の形も異なるため容易に識別できる。
迷ったら、フウトウカズラは葉をちぎるとコショウに似た香りがするため、確認してみると良いだろう。
コショウ属について
コショウ属Piperは、つる性の木本および直立する草本からなる1)。
世界の熱帯地方に700種以上あり、香辛料として有名なコショウP. nigrumを含む6)。
日本には暖地の海岸に普通なフウトウカズラのほか、小笠原のタイヨウフウトウカズラの2種が自生する1)。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)豊田武司 2014. 『小笠原諸島 固有植物ガイド』ウッズプレス.
3)琉球の植物研究グループ 国立科学博物館 2018-.『琉球の植物データベース』 https://www.kahaku.go.jp/research/activities/project/hotspot_japan/ryukyus/db/ 2021/8/26閲覧.
4)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
5)神奈川県植物誌調査会 2018. 『神奈川県植物誌2018電子版』神奈川県植物誌調査会.
6)Takooree, H., Aumeeruddy, M. Z., Rengasamy, K. R., Venugopala, K. N., Jeewon, R., Zengin, G., & Mahomoodally, M. F. (2019). A systematic review on black pepper (Piper nigrum L.): from folk uses to pharmacological applications. Critical reviews in food science and nutrition, 59(sup1), S210-S243.
編集履歴
2021/8/27 公開
2025/1/26 コショウ属についての項を追加