イチイ科の概要
常緑の高木~低木。種子は裸出するか、一部または全部を仮種皮に覆われる。世界に6属28種、日本に3属3種がある1)。
日本産イチイ科一覧
種の学名はIto et al.(2016)3)による。
属 | 種 | 分布 |
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イチイ属 Taxus | イチイ T. cuspidata | 北~九 |
イヌガヤ属 Cephalotaxus | イヌガヤ C. harringtonia | 北~九 |
カヤ属 Torreya | カヤ T. nucifera | 本~九 |
識別【イチイ・イヌガヤ・カヤの見わけかた】
葉の並び方、葉の硬さ、果実などが識別のポイント。
慣れれば葉だけで簡単に区別できるようになる。
詳細は下表参照。
イチイ | カヤ | イヌガヤ | |
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属 | イチイ属 | カヤ属 | イヌガヤ属 |
分布 | 北海道~九州 | 本州~九州 | 北海道~九州 |
葉 | あまり平面に並ばない | 平面的に並ぶ | 平面的に並ぶ |
葉先 | 痛くない | 痛い | 痛くない |
気孔帯 | 薄く、幅広い | 濃く目立ち、細い | 薄い~濃く、幅広い |
種子 | 赤く液状の仮種皮に覆われる | 緑褐色の仮種皮に覆われる | 仮種皮に覆われない |
3種の中では葉が不揃いな印象で、イヌガヤやカヤほど綺麗に平面に並ばない。葉は柔らかく、触っても痛くない。変種キャラボクは葉がらせん状に並ぶ。
葉は綺麗に平面に並び、柔らかく、触っても痛くない。カヤよりも葉の光沢が弱い。変種ハイイヌガヤは樹形が這う。
葉は平面に並び、硬いため、葉先を触ると非常に痛い。葉の光沢はイヌガヤより強い。葉裏の気孔帯はイチイやイヌガヤと比べて細い。
イチイ科の分類
イチイ科を1つの科とする説と、イヌガヤ科Cephalotaxaceae、ウラジロマキ科Amentotaxaceaeを分離して3科とする説がある1)。
本サイトではイチイ科としてこれら3つをまとめている。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編)2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
編集履歴
2021/7/1 公開
2021/10/31 識別の項を追加