植物 > 被子植物 > コショウ目 > ドクダミ科 > ドクダミ属
分布:本州~九州。北海道では外来と考えられている3,4)。小笠原では父島に分布5)。琉球にはおそらく自然分布はない6)。
薄暗い湿った場所に生える多年草。知名度の高い雑草で、葉に触れると独特の香りがする。花弁のように見えるものは総苞片で、一つ一つの花は小さく目立たない。
ドクダミの概要
花期1) | : | 6-7月 |
希少度 | : | ★(ごく普通) |
生活形 | : | 多年草 |
生育環境 | : | 低地の半陰地の湿った場所など |
学名2) | : | cordatus「心臓の形をした」 |
ドクダミの形態
葉
葉はハート形で互生し、やや大きな托葉がある。
表面には光沢がなく、しばしば赤紫色を帯びる。
独特の強い香りがあり、足で踏むだけでその存在に気付くことができる。
花
花序は独特の形状で、白い部分は花弁ではなく総苞片と呼ばれるもの。
総苞片は通常4個である。
開花初期のもの。
総苞片が開きつつある。
花は下から咲き上がる。
花弁や萼はなく、雄しべと雌しべのみからなる花が多数集まっている。
満開に近いもの。
花後の様子。
花序は遠くからでもよく目立つ。
薄暗い湿った場所に群生して咲く様子はなじみ深いものである。
ドクダミの品種
ヤエドクダミ f. plena
花穂の花に白色の小苞が発達し、八重咲のようになった品種。
しばしば栽培されるが、野生でどの程度見られるかは不明。
雄しべや雌しべがなくなっているわけではない。
学名は1)より。
ミドリドクダミ f. viridis
総苞片が緑色となる品種をミドリドクダミと呼ぶ1)。
写真のものは自生品で、総苞片が緑色であるのに加えて小苞が発達し、ヤエドクダミに近い性質を併せ持っているように見える。
これが典型的なミドリドクダミと呼べるものかどうかは不明。
出現頻度はかなり低いように感じる。
識別
花序の形状や独特の香りが特徴的で、識別は難しくない。
花のない状態ではイタドリなどとも似ているが、イタドリの葉のほうがより角張る。
迷ったら触れて匂いをかげば間違うことはないと思われる。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
3)梅沢俊 2007. 『新北海道の花』北海道大学出版会.
4)北海道 2010. 『北海道ブルーリスト2010 北海道外来種データベース』http://bluelist.pref.hokkaido.lg.jp/ 2021/8/21閲覧.
5)豊田武司 2014. 『小笠原諸島 固有植物ガイド』ウッズプレス.
6)琉球の植物研究グループ 国立科学博物館 2018-.『琉球の植物データベース』 https://www.kahaku.go.jp/research/activities/project/hotspot_japan/ryukyus/db/ 2021/8/21閲覧.
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2021/8/21 公開