トゲオトンボ科の概要
広義のイトトンボの仲間(均翅亜目)に属するトンボの仲間。
世界に4属30種、日本に1属7種が分布している3)。
四国・九州と琉球で見られ、種ごとに分布が異なっている。
「トゲオトンボ」の名は、トゲオトンボ属のオスの腹部第9節に突起があること(写真)に由来している。
トゲオトンボ科掲載種一覧
日本産7種のうち1種を掲載。
トゲオトンボ属 Rhipidolestes
九州と屋久島に分布。
九州本土のものは屋久島産と異なり、前肩条が上端に届かない、腹部の淡色の環状紋が明瞭、などの違いがある。
そのためキュウシュウトゲオトンボと呼ばれ区別されることもあるが、種としての和名はヤクシマトゲオトンボである。
日本産トゲオトンボ科一覧
1属7種が知られており、すべて土着種である。
分類、配列は尾園ら(2021)1)による。
属名 | 種名1) | 国内分布4) |
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トゲオトンボ属 | ヤエヤマトゲオトンボ Rhipidolestes aculeatus | 石垣島、西表島 |
オキナワトゲオトンボ Rhipidolestes okinawanus | 沖縄島中部、渡嘉敷島 | |
ヤンバルトゲオトンボ Rhipidolestes shozoi | 沖縄島北部 | |
アマミトゲオトンボ Rhipidolestes amamiensis | 奄美群島 | |
コシキトゲオトンボ Rhipidolestes asatoi | 甑島列島 | |
ヤクシマトゲオトンボ Rhipidolestes yakusimensis | 九州、屋久島 | |
シコクトゲオトンボ Rhipidolestes hiraoi | 四国 |
※アマミトゲオトンボは亜種トクノシマトゲオトンボを含む。
分類
トゲオトンボ属の所属については、これまで国内の書籍ではヤマイトトンボ科Megapodagrionidaeに含められてきたが1,4)、近年この科が解体されて分類が大きく見直された。
Bybee et al.(2021)2)では4属を含むトゲオトンボ科Rhipidolestidaeのタイプ属として位置付けており、ここでもそれに従った。
文献
1)尾園暁・川島逸郎・二橋亮 2021. 『日本のトンボ 改訂版』文一総合出版.
2)Bybee S. M., Kalkman V. J., Erickson R. J., Frandsen P. B., Breinholt J. W., Suvorov A. et al. 2021. Phylogeny and classification of Odonata using targeted genomics. Molecular Phylogenetics and Evolution 160:107115.
3)Paulson D., Schorr M., Deliry C 2021. 『World Odonata List 20210830』https://www2.pugetsound.edu/academics/academic-resources/slater-museum/biodiversity-resources/dragonflies/world-odonata-list2/ 2021/9/1閲覧.
4)尾園暁・渡辺賢一・焼田理一郎・小浜継雄 2007. 『沖縄のトンボ図鑑』いかだ社.
編集履歴
2022/6/7 公開