昆虫 > トンボ目 > モノサシトンボ科 > グンバイトンボ属
分布1,2):本州(青森、山形、新潟、福島、長野)。日本固有種。
冷温帯の湖沼に局地的に分布するグンバイトンボの仲間。オスはグンバイトンボのように脚が扁平に広がることはなく、成熟すると体色が青く変わる。分布は限られるが、分布域においては高密度で生息している。
アマゴイルリトンボの概要
出現時期 | : | 6月上旬-9月上旬1)。 |
希少度 | : | ★★★★(稀) |
全長1) | : | オス35-44㎜、メス37-42㎜ |
生息環境2) | : | 山間の森林に覆われた比較的大きくて深い池沼。抽水植物が繁茂し、水面にヒツジグサやジュンサイ、ヒルムシロなどの浮葉植物が自生する環境に生息する。 |
アマゴイルリトンボの形態
オス
成熟オス。
オスは成熟すると斑紋や複眼が青くなる。
成熟オス(別個体)。
成熟オス(別個体、左上)。
同所的に見られるエゾイトトンボと並んだところ。
本種のほうが一回り大きい。
また本種はモノサシトンボ科であり体型も異なる。
未熟オス。
未熟時は斑紋が白っぽい。
メス
メス。
メスも成熟すると斑紋が白から黄色へと変化する。
メス(同一個体)。
同所的に見られるモノサシトンボとよく似るが、眼後紋がないことや胸部側面の斑紋で識別できる(後述)。
分類
本種はグンバイトンボ属に属するが、同属の多くの種のようにオスの脛節が扁平に広がることはなく、代わりに成熟すると体色が変化する。
識別
成熟オスは体色が青く、識別は容易。
同所的に同じく成熟すると体色が青くなるエゾイトトンボやオゼイトトンボが分布するが、本種のほうが一回り大きいことや体形、斑紋から識別できる。
未熟オスやメスはモノサシトンボに似るが、頭部背面の斑紋(後頭条の有無)や胸部側面の色彩で識別できる(下画像参照)1,3)。
アマゴイルリトンボの生態
生息環境
森林に覆われ、抽水植物や浮葉植物が豊富な水深のある池沼の周辺に生息する。
生息地における生息密度は高く、特にオスは水辺で多くの個体を観察することができる。
繁殖行動
オスは水辺に静止して縄張りを持つ。
交尾後は連結態のまま、水面付近の植物組織内に産卵する1)。
写真のものはオヒルムシロの葉柄に産卵している。
繁殖活動は主に10時から14時にかけて行われる3)。
文献
1)尾園暁・川島逸郎・二橋亮 2021. 『日本のトンボ 改訂版』文一総合出版.
2)川合禎次・谷田一三 2018. 『日本産水生昆虫 第二版: 科・属・種への検索』東海大学出版部.
3)渡辺守. (1984). Flight Activity and Sex Ratios of a Damselfly, Platycnemis echigoana ASAHINA (Zygoptera, Platycnemididae). 昆蟲 (Japanese journal of entomology), 52(3), 435-440.
編集履歴
2024/3/23 公開