稀な冬鳥として渡来するガンの仲間。世界的に見ても分布は東アジアに限られている。日本ではかつて東京湾で群れが毎年越冬していたが、環境の変化で少数が不定期に見られるのみとなった。
サカツラガンの概要
希少度 | : | ★★★★(稀) |
全長2) | : | 87㎝ |
生息環境3) | : | 湖沼、農耕地 |
英名 | : | Swan Goose「ハクチョウのようなガン」 |
サカツラガンの形態
識別
他種との識別
頭~頸の色彩が特徴的であるため、識別に迷うことはない。
本種を家禽化したシナガチョウは頭にこぶが目立つことや体形がぼってりしていることから識別可能(下記参照)。
なお亜種は認められていない(単型種)。
年齢の識別
幼羽では嘴基部の白色部が無いまたは目立たない2)。
また雨覆や脇は整った縞模様とはならず、全体的にくすんだ色に見える。
ただし、個体によって越冬の早い段階でほとんど成羽となる場合もあると思われる。
個体数について
サカツラガンの現状についてはDamba et al.(2020)4)に詳しい。
最大の繁殖地はロシア・中国との国境に近いモンゴルにあり、およそ43,000羽が繁殖している。
また、越冬地はほぼ中国南部の長江流域に限られている6)。
全世界の現存個体数はおよそ60,000-90,000羽と見積もられている5)。
日本では1950年ごろまで東京湾で毎年群れが越冬していたというが、最近では不定期に飛来するのみとなった1)。
湿地環境の悪化等により世界的に個体数は減っていると考えられており、保護の必要性が叫ばれている。
シナガチョウ
文献
1)榛葉忠雄 2016. 『日本と北東アジアの野鳥』生態科学出版.
2)真木広造・大西敏一・五百澤日丸 2014. 『決定版 日本の野鳥650』平凡社.
3)桐原政志・山形則男・吉野俊幸 2009. 『日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版』文一総合出版.
4)Damba I., Fang L., Yi K., Zhang J., Batbayar N., You J. et al. 2020. Flyway structure, breeding, migration and wintering distributions of the globally threatened Swan Goose Anser cygnoides in East Asia. Wildfowl Special Issue 6:97-123.
5)BirdLife International 2020. Species Factsheet: Anser cygnoides. BirdLife International, Cambridge, UK. Available at http://www.birdlife.org (2022/3/6閲覧)
6)An A., Cao L., Jia Q., Wang X., Zhu Q., Zhang J. et al. 2019. Changing Abundance and Distribution of the Wintering Swan Goose Anser cygnoides in the Middle and Lower Yangtze River Floodplain: An Investigation Combining a Field Survey with Satellite Telemetry. Sustainability 11(5):1398.
編集履歴
2022/3/6 公開
2024/3/3 分布図を変更
2024/10/21 識別の項の記述を修正