分布1,3):外来種として日本各地に生息するが局地的1)。沖縄島には比較的多いと思われる。原産地は中南米(テキサス州南部~アルゼンチン北部)3)。
家禽として食用に持ち込まれ、一部で野生化しているカモの仲間。アヒルと間違われやすいが、マガモよりもオシドリなどに近縁とされる。体色は様々だが、原種はほぼ全身が緑色光沢のある黒色である。
ノバリケンの概要
希少度 | : | ★★★(外来種としてやや稀) |
全長1) | : | 66-84㎝(原種) |
生息環境1) | : | 池 |
学名2) | : | moschata…”Muscovy”(モスクワ周辺の古名)、もしくは”moschatus”(musky=麝香の香りの) |
英名5) | : | Muscovy Duck「モスクワ大公国のカモ」(※ロシアに本種は分布していない) |
ノバリケンの形態
成鳥オス
原種は全身の大部分が黒く、翼の一部のみ白い4)。
家禽化されたものはバリケンと呼ばれ、原種に近いものから白や灰色のもの、これら3色が混じるものまで様々である1)。
同一個体。
オスでは嘴基部にこぶがある1,4)。
また、メスはオスより体色が淡く、体サイズがかなり小さい(原種)4)。
識別
特に似た種はいない。
家禽化されたマガモ(アヒル)と間違えないよう注意。
外来種としてのノバリケン
ノバリケンから家禽化された「バリケン」が食肉とすることを目的に持ち込まれ、逃げ出したり放棄されたものが野生化している1)。
特に沖縄島では観光地などで注目を浴びる機会もあるようである。
また、本種と家禽化マガモの雑種であるドバンも食用に飼育される1)。
分類
Cairina属にはノバリケン1種のみが属する。
なお、Cairina属はオシドリ属Aixと姉妹群を形成することが示唆されている5)。
ミトコンドリアDNA解析の結果、これら2属とツクシガモ属Tadorna、コバシガン属Chloephagaの4属からなるツクシガモ亜科Tadorninaeを認める見解もある5)。
文献
1)桐原政志・山形則男・吉野俊幸 2009. 『日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版』文一総合出版.
2)James A. Jobling 2010. Helm Dictionary of Scientific Bird Names. Christopher Helm.
3)Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2023. IOC World Bird List (v13.2). doi : 10.14344/IOC.ML.13.2.
4)Jon L. Dunn, Jonathan Alderfer 2011. National Geographic Field Guide to the Birds of North America, Sixth Edition. National Geographic.
5)Liu, G., Zhou, L., Li, B., & Zhang, L. (2014). The complete mitochondrial genome of Aix galericulata and Tadorna ferruginea: bearings on their phylogenetic position in the Anseriformes. PLoS One, 9(11), e109701.
編集履歴
2024/2/26 公開