分布3,4):局所的に冬鳥として渡来。北海道では旅鳥で、主に東北地方で越冬する。オオヒシクイよりも北のツンドラ地帯で繁殖する(本文参照)。
冬鳥として寒冷な地域を中心に飛来するガンの仲間。嘴の先端付近にある黄色い部分が特徴的である。オオヒシクイとは同種の亜種とされたり、別種とされたり文献によって扱いが異なる。実際には個体差が非常に大きく、明瞭に分けられるものではない。
ヒシクイの概要
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
全長1) | : | 78-89㎝ |
生息環境1,4) | : | 湖沼、農耕地。オオヒシクイよりも陸地で採餌する傾向が強い。 |
学名2) | : | serra「ノコギリ」-rostris「嘴」 |
英名 | : | Tundra Bean Goose「ツンドラで繁殖する、ソラマメの収穫時期に渡来するガン」 |
ヒシクイの形態
亜種ヒシクイと考えられる個体。
嘴は黒く、先端付近に黄色部がある。
脚はオレンジ色。
オオヒシクイ(左)との体型の比較(別個体)。
ヒシクイのほうが頸や嘴が短く、嘴と額のなす角度がオオヒシクイよりも急になる傾向がある。
実際には中間的な個体も多く、明瞭には見分けられないことが多い。
別の群れ。
典型的な亜種ヒシクイは、マガンよりやや大きい程度。
同じ群れ。
この群れは嘴に泥が付着しており黄色部が明瞭に確認できない。
年齢の識別
オオヒシクイのページを参照。
識別
嘴は黒色で先端付近に黄色部があり、独特の色彩であるため(オオヒシクイを除く他種とは)識別しやすい。
ただし、嘴の色には個体差があるため注意が必要。
詳細はオオヒシクイのページを参照。
分類と亜種について
詳細はオオヒシクイのページを参照。
文献
1)桐原政志・山形則男・吉野俊幸 2009. 『日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版』文一総合出版.
2)James A. Jobling 2010. Helm Dictionary of Scientific Bird Names. Christopher Helm.
3)Li C., Zhao Q., Solovyeva D., Lameris T., Batbayar N., Bysykatova-Harmey I. et al. 2020. Population trends and migration routes of the East Asian Bean Goose Anser fabalis middendorffii and A. f. serrirostris. Wildfowl Special Issue 6:124-156.
4)榛葉忠雄 2016. 『日本と北東アジアの野鳥』生態科学出版.
編集履歴
2023/12/5 公開
2024/3/3 分布図を変更
2024/10/21 識別の項の記述を一部修正