昆虫 > トンボ目 > アオイトトンボ科 > アオイトトンボ属
分布1):北海道~九州。南九州では産地が限られ、鹿児島県では近年記録がない。国外では朝鮮半島、中国、ロシア、ヨーロッパ。
ほぼ全国の水辺や林縁で見られる身近なトンボ。イトトンボ科とは少し縁遠いグループである。同じく普通に見られるオオアオイトトンボとやや似ているため注意。北海道ではエゾアオイトトンボというさらにそっくりなトンボがいるので、慎重に識別する必要がある。
アオイトトンボの概要
出現時期 | : | 主に初夏~秋。近畿では9-10月に多い。卵越冬。 |
希少度 | : | ★(ごく普通) |
全長1) | : | オス34-48㎜、メス35-48㎜ |
生息環境1) | : | 平地~山地の抽水植物の繁茂する池沼・湿地;高山の池塘 |
アオイトトンボの形態
オス
オスは成熟すると複眼が青くなり、体に青白い粉を吹く。
メス
メスは成熟するとオスのように粉を吹く個体と、吹かない個体の両方がみられる(写真は粉を吹いていない個体)。
オスより腹部が太く、腹端の形も異なること、副性器がないことから雌とわかる。
識別
同属のオオアオイトトンボ、コバネアオイトトンボ、エゾアオイトトンボと似る。
オオアオイトトンボは北海道~九州に分布し、普通に見られる。アオイトトンボよりやや大型で、成熟しても胸部に白い粉を吹かない。
コバネアオイトトンボは東北~九州に分布する希少種で、成熟しても粉を吹かない。胸部の金緑色部が第2側縫線に達しないことが特徴。
エゾアオイトトンボは国内では北海道のみで見られ、アオイトトンボと酷似する。識別にはオスの尾部付属器の形状やメスの産卵管の長さを確認する必要がある。
なお、オガサワラアオイトトンボはホソミオツネントンボ属に属する別の仲間で、体形や模様が大きく異なる。小笠原諸島のみに分布し、絶滅寸前の状況にある。
アオイトトンボの生態
産卵は連結したまま行われる。
卵は水辺の植物の茎などに産み付けられ、水面より上であることが多いが、水中に潜る場合もある1)。
文献
1)尾園暁・川島逸郎・二橋亮 2021. 『日本のトンボ 改訂版』文一総合出版.
2)山本哲央・新村捷介・宮崎俊行・西浦信明 2009. 『近畿のトンボ図鑑』いかだ社.
編集履歴
2021/10/21 公開
2023/12/13 アオイトトンボ属3種の比較画像を追加