ツガ Tsuga sieboldii

植物 > 裸子植物 > マツ目 > マツ科 > ツガ属

兵庫県篠山市 2015/3/14
※分布図は目安です。

分布1):本州(福島県以南)~屋久島。国外では韓国鬱陵島に分布。

山地に生える針葉樹。モミと共に、中間温帯を代表する「モミ・ツガ林」を構成する。モミほど葉先は尖らない。高標高地ではコメツガとの識別に注意。

ツガの概要

花期1)4-5月
希少度★★(普通)
大きさ1)高さ25-30m、幹径約1m
生活形常緑高木
生育環境2)おもに中間温帯の山地~丘陵の尾根や岩場
学名3)フィリップ・フォン・シーボルトへの献名

ツガの形態

京都府南丹市美山町 2014/9/14

長さ1-2㎝で長短のばらつきがある1)。コメツガより長く、モミより短い。葉先は鈍頭で少し凹む。

兵庫県篠山市 2015/3/14

葉裏には2本の白い気孔帯がある。

葉枕

兵庫県篠山市 2015/3/14

葉の付け根には葉枕と呼ばれる膨らみがある。モミ属にはない。葉枕はツガ属のほか、トウヒ属にも見られる。

球果(松ぼっくり)

大阪府岸和田市 2014/11/8

花の咲いた年の秋に熟し、枝から下垂する。長さは約2.5㎝でコメツガより大きい1)

種子

大阪府岸和田市 2014/11/8

種子は長さ4-6㎜、翼があり風で散布される。

樹皮

長野県阿智村 2014/11/3

灰赤褐色で深く縦裂する。

ツガの生育環境

長野県阿智村 2014/11/3

低地~標高2000m以下の山地に生える4)。モミとよく混生し林を作る2)。モミと合わせ、暖温帯常緑広葉樹林と冷温帯落葉広葉樹林の境界に位置する「中間温帯」を代表する樹種。

長野県阿智村 2014/11/3

生育地の林床ではしばしば実生や稚樹が見られる。

識別

日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。

ツガ属とマツ科の他属との違い

葉枕が発達するのが本属の大きな特徴。同様の特徴を持つのは日本産の針葉樹では他にトウヒ属Piceaのみ。

ツガの葉枕
トウヒの葉枕

トウヒ属とは、ツガ属の2種の葉先が尖らず、少し凹むことにより区別可能。

ツガ T. sieboldii 葉先は丸く、少し凹む
トウヒ属(エゾマツ)の葉裏。葉先は尖る

ツガとコメツガの違い

ツガとコメツガはよく似ている。球果のサイズや若枝の毛の有無で見分けるのが確実。また、ツガのほうがより低標高地に多い。

ツガ 葉がやや長い
コメツガ 葉がやや短い
ツガ 一年枝は無毛
コメツガ 一年枝に微毛が生える
ツガコメツガ
葉の長さ2)長い短い
樹皮1)灰赤褐色灰褐色
若枝2)無毛微毛が生える
球果1)長さ約2.5㎝長さ1.5-2.0㎝
果柄2)曲がるあまり曲がらない
冬芽1)先が尖る先は丸い
標高2,4)2000m程度まで800-3000m程度
ツガとコメツガの識別点

モミとツガの見分け方

モミとツガはともに中間温帯を代表する樹種で、よく混生する。モミのほうが葉が長く、葉先がよく尖るため一見して区別できる。

ツガ
モミ

また、モミにはツガにあるような葉枕がないため、枝を見ても識別できる。

ツガの葉裏
モミの葉裏

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
4)田中信行・松井哲哉 (2007-) PRDB:植物社会学ルルベデータベース, 森林総合研究所.
http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/prdb/index.html. 2021年2月14日閲覧.

編集履歴

2021/7/1 公開