分布1):本州~屋久島。北限は青森県津軽地方。
言わずと知れた花粉症の原因植物。本州以南の各地に植林され、その面積は日本の森林面積の実に18%を占めている3)。わが国の林業において最も重要な樹種の一つである。
スギの概要
花期1) | : | 3-4月 |
希少度 | : | ★★★(自生はやや稀) |
大きさ1) | : | 高さ40-50m、幹径4-5m |
生活形 | : | 常緑高木 |
生育環境2) | : | 中間温帯の山地の斜面や尾根、岩場 |
学名 | : | japonica「日本の」 |
スギの形態
全体
スギ植林。本州~九州の各地で目にする光景である。花の時期には褐色に染まる。
自然林内に生える大型の個体。植林地と異なり、幹は湾曲し荘厳な雰囲気を纏う。
葉
葉はやや曲がった針のような形をしており、長さ約1㎝で枝にらせん状につく。関節がないため、枯れると小枝ごと落ちる1,2)。
芽吹き。
花
雄花と雌花がある(雌雄異花)。雄花は長楕円形、枝先に穂状に集まってつく。
3月から4月ごろにかけて花粉をまき散らす。これが花粉症の原因となる。
雌花は枝先に1個ずつつき、らせん状の雌鱗片からなる。
雄花と雌花。同時期に見られる。
落ちた雄花。
果実(球果)
球果は10月に熟し、長さ2-3㎝の球形。
熟すと裂開する。褐色。
種子
種子は長さ5-7㎜、狭い翼がある。
樹皮
樹皮は赤褐色~暗赤褐色、縦に長く剥がれる。
スギこぶ病
枝に腫瘍状のこぶが形成される病気。糸状菌(かび)の仲間によって引き起こされるもので、ひどい場合は枯れることもある。病原菌は未報告の新種(未記載)とのこと4)。
識別
日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。
識別のポイント
日本産針葉樹の中では、葉の基部に関節がなく、枝ごと落ちる点で他種と識別できる。
慣れれば特に似た種はいないため見分けやすい。
スギとヒノキの違い
スギと同じく普通に植林され、本州以南でよく見られるヒノキとは、葉の形が大きく異なるため一見して区別できる。
スギの葉が立体的に配置しているのに対し、ヒノキの葉は平面に並んでいる。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)森林資源の現況(平成29年3月31日現在):林野庁.https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/genkyou/h29/index.html. 2021年6月21日閲覧.
4)安藤裕萌,本橋慶一,矢口行雄 2013. スギこぶ病菌の所属再検討. 日本菌学会会報54: 15-26.
編集履歴
2021/7/1 公開
2022/1/1 識別の項を追記