分布1):本州(福島県吾妻山~中部地方、紀伊半島)、四国。
オオシラビソなどとともに、本州亜高山帯の針葉樹林を代表する樹種の一つ。細長い葉が特徴的。
シラビソの概要
花期1) | : | 6月 |
希少度 | : | ★(ごく普通) |
大きさ1) | : | 高さ25m、幹径80㎝ |
生活形1) | : | 常緑高木 |
生育環境 | : | 亜高山帯 |
別名 | : | シラベ |
学名3) | : | エクスターおよびチェルシーの種苗業者ヴィーチ家の人物への献名 |
シラビソの形態
葉と枝
長さ15-25mm、オオシラビソよりも細長い2)。
葉裏には2本の白い気孔帯がある。
若枝には灰褐色の短毛が生える。葉の基部は丸く広がる(モミ属に共通の特徴)2)。
識別
日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。
また、モミ属全種の比較表については「モミ属」のページをご参照ください。
識別のポイント
日本産モミ属は他に4種ある(モミ、ウラジロモミ、オオシラビソ、トドマツ)。特にオオシラビソとはよく混生する。トドマツは北海道以北にあり、分布が重ならない。
シラビソとオオシラビソの違い
オオシラビソのほうが葉が幅広く短い。
また、オオシラビソは枝葉を上から見た時、枝が葉に隠れてよく見えない。一方、シラビソは隙間が大きく枝がよく見える2)。
シラビソとウラジロモミの違い
シラビソの若枝には灰褐色の短毛が生える2)。ウラジロモミは無毛のためここを見れば確実に見分けられる。
シラビソとモミの違い
モミの若い個体は葉先が大きく2叉して尖るため一見して区別できる。
またモミは低標高地に生えるため普通混生しない。
モミの成木では葉先があまり尖らず丸いものもあるが、シラビソのほうが葉が細長く、葉裏の白い気孔帯はモミよりはっきりと白いため区別できる。
シコクシラベ
四国に分布するものは葉の長さが短く(15㎜前後)先が太く、球果もやや小さく丸みを帯びることからシコクシラベvar. reflexaとして変種に分ける場合がある1,2)。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
編集履歴
2021/7/1 公開
2022/3/26 モミとの識別の項を追記修正