植物 > 被子植物 > オモダカ目 > サトイモ科 > ミジンコウキクサ属
分布2,4,6,7,8):東南アジア原産2)。ヨーロッパ南部原産とする文献もある6)。本州、四国、九州、沖縄。北限は茨城県とする文献がある7)。福島県の外来種リストに記載がある8)。北米やアフリカを含む世界各地に帰化。
世界最小の種子植物として知られるミジンコウキクサ属にあって、国内に唯一分布する種。外来種と考えられており、関東以西のため池などで見られる。とにかく小さく、葉状体のサイズは1㎜に満たない。
ミジンコウキクサの概要
花期4) | : | 8-9月(開花は極めて稀) |
希少度 | : | ★★★(やや稀な外来種) |
生活形2,4) | : | 浮遊植物 |
生育環境2) | : | 湖沼、ため池、水路、ハス田など |
学名3) | : | globosa「球形の」 |
ミジンコウキクサの形態
葉状体
葉に見える部分は、茎と葉の区別がなく維管束もない「葉状体」と呼ばれるもの2,5)。
葉状体は微小で長さ0.3-0.8㎜、幅0.2-0.5㎜2)。
ミジンコウキクサの仲間は世界最小の種子植物とされ1)、存在を知らないと見落とすほどの小ささである。
根はなく2)、単独または大小2個の群体となる1)。
花
8-9月に咲くが、開花は極めて稀2,4)。
花は1個の雄しべと1個の雌しべからなり、種子は球形とされるが2,4)、通常は栄養生殖により繁殖する。
識別
微小な葉状体は他に似たものは国内になく、識別は容易。
ミジンコウキクサの生態
繁殖生態
花の項でも書いたが、開花はごく稀で通常は栄養生殖によって繁殖する2,4)。
2個の葉状体が群体をなしている場合、いずれか(小さいほう)は子株である。
越冬生態
冬が近づくと葉状体がでんぷんを貯蔵して殖芽となり、そのまま水底に沈んで越冬する2,4)。
生育環境
ため池や水路などに生育し、他の浮葉植物とよく混生する。
ため池の水面を藻類と共に覆い尽くすミジンコウキクサ。
ヒシと混生するミジンコウキクサ。
本種の小ささが際立っている。
分類
本種の属するミジンコウキクサ属Wolffiaには約10種があるが、日本に分布するのは本種のみである1)。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)角野康郎 2014. 『ネイチャーガイド 日本の水草』文一総合出版.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
4)角野康郎 1994.『日本水草図鑑』文一総合出版.
5)清水建美 2001. 『図説 植物用語辞典』八坂書房.
6)清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七 2001.『日本帰化植物写真図鑑―Plant invader 600種―』全国農村教育協会.
7)後藤直和, & 大滝末男. (1994). 霞ヶ浦の水生植物の現状と過去. 水草研究会報, 54, 13-18.
8)福島県生活環境部自然保護課 2023. 『ふくしまブルーリスト2022年度版』
編集履歴
2024/11/1 公開