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早春に咲くクスノキ科の落葉樹。身近な樹木だが近縁種が多く、その識別には注意を要する。北日本や日本海側には葉の大きな変種オオバクロモジ、太平洋側には変種クロモジが分布する。四国や九州ではほとんど見られない。
クロモジの概要

花期1) | : | 4月 |
希少度 | : | ★★(普通) |
生活形 | : | 落葉低木 |
生育環境2) | : | 山地~丘陵の落葉樹林内 |
学名3) | : | umbellatus「散形花序の」 |
クロモジの形態
葉
花
果実
冬芽
樹皮
クロモジの分類
クロモジ属の中でも、クロモジに近縁な数種の分類上の扱いにはいくつかの説がある。
オオバクロモジは本ページで扱っている通り、クロモジの変種 L. umbellata var. membranaceaとされるのが普通である。
ケクロモジはクロモジの変種とする考えもあるが、現在では独立種 L. sericeaとするのが一般的。
ウスゲクロモジはケクロモジの変種 L. sericea var. glabrataとされることが多いが、独立種という意見も強い。小山(1987)4)は形態上の類似性からケクロモジよりもヒメクロモジに近縁だろうとしている。
ヒメクロモジはクロモジの変種として記載されたが、独立種 L. lanceaとされることが多い。ケクロモジの変種とする意見もある。
各分類群の特徴は下表のとおりである。
分布域である程度絞り込むことができる。変種クロモジは四国や九州にはほとんどない。
クロモジ | オオバクロモジ | ケクロモジ | ウスゲクロモジ | ヒメクロモジ | |
---|---|---|---|---|---|
分布 | 本(四、九) (太平洋側) | 北~近畿 (日本海側) | 中国、四、九 | 関東~九 (やや高標高) | 東海~九州 |
葉身長2) | 5-10㎝ | 7-14㎝ | 6-12㎝ | 7-15㎝ | 4-10㎝ |
葉表の毛 | ほぼ無毛 | ほぼ無毛 | 軟毛密生 | 脈上中心に絹毛 | 脈上中心に絹毛 |
葉裏の毛 | 脈上に絹毛 | 脈上に絹毛 | 軟毛密生 | 脈上中心に絹毛 | 脈上中心に絹毛 |
葉裏の網脈1) | 隆起弱い | 隆起弱い | 強く隆起 | 強く隆起 | 隆起弱い |
花序柄の毛1,4) | 白色 | 白色 | 黄褐色 | 黄褐色 | 赤褐色 |
識別
ケクロモジなどとの識別点は上の項を参照。
それ以外の種については、葉が枝先に集まってつくこと、枝が緑色であることを確認すれば識別は難しくない。
タムシバなどは葉の質感が似ているため一応注意。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
4)小山博滋 1987. クロモジ群の分類と分布. 植物分類・地理 38:161-175.
編集履歴
2023/6/18 公開
2023/11/5 識別の項に追記