コメツガ Tsuga diversifolia

植物 > 裸子植物 > マツ目 > マツ科 > ツガ属

栃木県日光市庚申山 標高約1650m 2016/6/15
※分布図は目安です。

分布1):本州(八甲田山~紀伊半島)、四国、九州(祖母山)。日本固有種

日本固有の針葉樹。その名の通り米粒のような小さい葉が可愛らしい。ツガよりも高標高地に生え、本州の亜高山帯を代表する樹種の一つ。

コメツガの概要

花期1)6月
希少度★(ごく普通)
大きさ1)高さ20-25m
生活形1)常緑高木
生育環境1,2)亜高山帯に生え、時に純林を作る。シラビソやオオシラビソとよく混生する。
学名3)diversifolius「多様な葉がある」

コメツガの形態

長野県大町市 2015/5/3

長さ4-14㎜で長短にばらつきがある1)。ツガよりも葉が短い。葉先は少し凹む。

長野県大町市 2015/5/3

葉裏には2本の白い気孔帯がある。葉の基部には葉枕と呼ばれる膨らみがある。

識別

日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。

ツガ属とマツ科の他属との違い

葉枕が発達するのが本属の大きな特徴。同様の特徴を持つのは日本産の針葉樹では他にトウヒ属Piceaのみ。

ツガの葉枕
トウヒの葉枕

トウヒ属とは、ツガ属の2種の葉先が尖らず、少し凹むことにより区別可能。

コメツガの葉裏。葉先が少し凹む
エゾマツ(トウヒ属)の葉裏。葉先は尖る

ツガとコメツガの違い

ツガとコメツガはよく似ている。球果のサイズや若枝の毛の有無で見分けるのが確実。また、コメツガのほうが高標高地にまで分布する。

ツガ 葉がやや長い
コメツガ 葉がやや短い
ツガ 一年枝は無毛
コメツガ 一年枝に微毛が生える
ツガコメツガ
葉の長さ2)長い短い
樹皮1)灰赤褐色灰褐色
若枝2)無毛微毛が生える
球果1)長さ約2.5㎝長さ1.5-2.0㎝
果柄2)曲がるあまり曲がらない
冬芽1)先が尖る先は丸い
標高2,4)2000m程度まで800-3000m程度
ツガとコメツガの識別点

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
4)田中信行・松井哲哉 (2007-) PRDB:植物社会学ルルベデータベース, 森林総合研究所. http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/prdb/index.html. 2021年2月14日閲覧.

編集履歴

2021/7/1 公開