分布:北海道~琉球2)。国外では広域分布種。東京、神奈川、埼玉、沖縄の各都県では絶滅。
環境のよい池に生育する水草。楕円形の葉が水面に浮かぶ様子が特徴的である。花はくすんだ赤色で、2日かけて雌性期から雄性期へと変化する。秋田県などでは栽培されており、お吸い物などとして利用される。
ジュンサイの概要
花期1) | : | 6-8月 |
希少度 | : | ★★★(やや稀) 地域によっては激減している |
生活形 | : | 多年生の水草 |
生育環境1) | : | 腐食栄養または貧~中栄養の湖沼やため池 |
ジュンサイの形態
葉
葉は長さ5~10㎝の楕円形で水面に浮かぶ。
葉柄は水中にあり、葉のほぼ中心部に盾状に接続している。
花
花は水面から突き出て咲き、紫褐色で直径約2㎝。
雌→雄へと性が変化する(雌性先熟)。
開花して1日目はメスの時期である1)。
開花して2日目はオスの時期となり、雄蕊が長く抽出する。
ジュンサイの保全状況
ジュンサイはため池の富栄養化1)等により各地で減少している。
2021年現在、埼玉県、東京都、神奈川県、沖縄県の各レッドデータブックでは絶滅種の指定を受けている3)。
ジュンサイハムシ
ジュンサイハムシは国内では本州、四国、九州に分布し、ジュンサイやヒシを食べる。
浮いた葉の上で繁殖し、時に大発生して非常に目立つ。
発生地では多数が見られる場合が多い。
幼虫(黒いもの)、蛹(赤いもの)、成虫の各ステージが見られる。
識別
日本産の水草で、葉が水面に浮き、葉柄が盾状(ハス型)につくものは他にオニバスくらいであり、識別は難しくない。
同じ科の外来種であるハゴロモモ(フサジュンサイ)は糸状に分裂する葉をしており、見た目が全く異なる。
文献
1)角野康郎 2014. 『ネイチャーガイド 日本の水草』文一総合出版.
2)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編)2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
3)NPO法人野生動物調査協会, NPO法人Envision環境保全事務所『日本のレッドデータ検索システム』http://jpnrdb.com/index.html. 2021/7/2閲覧.
編集履歴
2021/7/2 公開