植物 > 裸子植物 > ナンヨウスギ目 > マキ科 > マキ属
分布4):関東~先島諸島。国外では台湾、中国。
幅広い葉を持つ針葉樹。暖地の海岸沿いに分布するが、庭木などとして植栽されているものを見る機会のほうが多い。防風のために生垣にも利用される。ラカンマキは本種の変種または園芸品種。
イヌマキの概要
花期1) | : | 5-6月 |
希少度 | : | ★★(普通) |
大きさ1) | : | 高さ20m、幹径50㎝ |
生活形1) | : | 常緑高木 |
生育環境2) | : | 海岸に近い常緑樹林内 |
学名3) | : | macrophyllus「大きな、または長い葉の」 |
イヌマキの形態
葉
長さ10㎝前後、針葉樹にしては幅広い針形。植栽される中国原産の変種(もしくは品種)ラカンマキは葉が4-8cmと小型で密につく1,2)。時に中間的な個体がある。
雄花
多数の雄蕊が集まり円柱状で長さ約3㎝、3-5個が葉腋から出る1)。
雄花穂は花粉を飛ばし終わると細くなる。
果実
先側にある白緑色の部分は、雌鱗片が肥厚して種子を包んだものである。根元側の暗紅色の部分は花托が肥厚したもので、甘みがあり食べられる。
樹皮
樹皮は灰白色で細かく縦に裂ける。
幼木
林床などで鳥が運んだと考えられる実生、幼木個体を目にする機会が多い。
識別
幅広い葉が特徴的であるため、国産種で識別に迷うものはない。
(リュウキュウイヌマキは国内の分布が不確かなためここでは触れない。)
コウヤマキ科のコウヤマキとは少し似る。
イヌマキとコウヤマキの違い
葉幅:イヌマキは7-10㎜と幅広いが、コウヤマキは(2)3-4㎜と非常に細い。
葉先:イヌマキの葉先は凹まないが、コウヤマキの葉先はわずかに凹む。
鱗片葉:コウヤマキの長枝には長さ約2㎜の鱗片葉がつく。イヌマキにはない。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
4)林将之 2016. 『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版.
編集履歴
2021/7/1 公開