イチイ/キャラボク Taxus cuspidata

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岐阜県高山市 2014/9/21
※分布図は目安です。

分布1):北海道~九州。国外では色丹島、千島列島(中部以南)、サハリン、朝鮮半島、中国(東北)、シベリア東部。

山地に生えるイチイ科の常緑針葉樹。赤い仮種皮に覆われた種子が特徴的。日本海側で見られるキャラボクはイチイの変種である。

イチイの概要

花期1)3-4月
希少度★★★(やや稀)
大きさ1)高さ15-20m
生活形常緑高木
生育環境2)山地の尾根など
学名3)cuspidatus「先端が硬くとがった」
別名アララギ、オンコ

イチイの形態

樹形

岐阜県高山市 2014/9/22

低木~高木。変種のキャラボクでは這う樹形となる(後述)。

岐阜県高山市 2014/9/21

葉は2㎝前後、先は尖るが触っても痛くない。

岐阜県高山市 2014/9/22

葉裏には2本の幅広い気孔帯があるが、あまり白くなく目立たない。

種子

岐阜県高山市 2014/9/21

種子は赤い仮種皮に覆われる。果実ではなく、種子の周りに皮がついているだけのような状態である。仮種皮は種子を完全に覆うことはなく、上部から種子が見えている。

岐阜県高山市 2014/9/22

仮種皮を除いたもの。この部分が種子である。

樹皮

岐阜県高山市 2014/9/21

樹皮は浅く縦に裂ける。

イチイの種内変異

キャラボク

キャラボクvar. nanaはイチイの変種で、本州日本海側に見られる。
樹形は地面を這い、葉がらせん状に並ぶ。
庭などに植栽されることも多い。

岐阜県下呂市(植栽) 2014/9/22

葉は平面に並ぶことはほぼなく、らせん状に配列している。

岐阜県下呂市(植栽) 2014/9/22

本来の産地は日本海側であるが、それ以外の地域でも植込みなどに利用されているのをよく見かける。

ダイセンキャラボクについて

鳥取県大山のキャラボクは「ダイセンキャラボク」と呼ばれ、国の特別天然記念物に指定されている。
T. caespitosaとして別種とされていたが、変異の範囲内として現在ではキャラボクに含められている4)

イチイとカヤ、イヌガヤの識別

日本産イチイ科には本種のほか、カヤとイヌガヤの合計3種がある。
3種は葉の並び方などがよく似ているが、葉の形態や果実、種子などに違いがある。
詳細はイチイ科のページを参照。

日本産針葉樹全体の識別については「日本産針葉樹の葉による絵解き検索表」のページを参照。

分類

日本産のイチイ属Taxusは本種のみ。
世界的には北半球に7~8種があり、常緑の高木~低木1)

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
4)米倉浩司 2013. 2007年および2008年に発表された日本産植物の新学名. 植物研究雑誌 88: 320-329.

編集履歴

2021/7/1 公開
2025/1/25 分類の項を追加