ホンドミヤマネズ Juniperus communis var. hondoensis

植物 > 裸子植物 > ヒノキ目 > ヒノキ科 > ビャクシン属

富山県立山町 標高約2500m 2017/7/22
※分布図は目安です。

分布1):本州(尾瀬至仏山~加賀白山)。種としては北海道~本州(中部地方以北)、国外では広域分布種。

高山に生える針葉樹。這う樹形が特徴的。ミヤマネズ、リシリビャクシンとは変種同士の関係にある。

ホンドミヤマネズの概要

花期1)6-7月
希少度★★★(やや稀)
生活形匍匐性の常緑木本
生育環境高山帯
学名3)communis「群生する、ふつうの」

ミヤマネズ、ホンドミヤマネズ、リシリビャクシン

広義のミヤマネズ(セイヨウネズ)のうち、国内のものは変種ミヤマネズ、変種ホンドミヤマネズ、変種リシリビャクシンの3変種に分類される。
それぞれの特徴は以下の通り1)

ミヤマネズホンドミヤマネズリシリビャクシン
学名var. nipponicavar. hondoensisvar. montana
分布北海道アポイ岳、本州(北部の高山)本州(尾瀬至仏山~加賀白山)北海道
葉形わずかに曲がるわずかに曲がる著しく弓状に曲がる
気孔帯0.3-0.4㎜0.7-0.9㎜0.5㎜前後
国内産ミヤマネズ類3変種の特徴まとめ

なお、基変種のセイヨウネズvar. communisはヨーロッパから北米、西アジア、北アフリカに分布し、葉はまっすぐで曲がらない1)

ホンドミヤマネズの形態

富山県立山町 標高約2500m 2017/7/22

葉はやや弓状に曲がる。
葉表の白い部分(気孔帯)は変種ミヤマネズや変種リシリビャクシンよりも太い。

識別

日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。

ミヤマネズ(広義)とイブキ、ネズ、ハイネズ、シマムロの見分け方

国内のビャクシン(ネズミサシ)属には他にイブキ、ネズ、ハイネズ、シマムロ(オキナワハイネズ)の4種がある。

イブキは葉に2形があり、多くが鱗状であることで容易に識別可能。

ネズは幹が直立し、内陸の丘陵地に生えるため、ふつう迷うことはない。

ハイネズは海岸に生え、ミヤマネズ(広義)とは生育環境が異なる。気孔帯はミヤマネズよりも細く、また深い溝状になる。

シマムロ(オキナワハイネズ)は葉の白い部分(気孔帯)が2本あることで明確に見分けられる。

イブキネズハイネズミヤマネズシマムロ
分布北~九本・四・九北・本・九北・本本・小笠原
環境海岸/高山丘陵海岸高山尾根
葉形鱗状/針状針状針状針状針状
樹形匍匐~直立直立匍匐匍匐~斜上匍匐~直立
気孔帯2本1本(細い)1本(細い)1本(太い)2本(太い)
日本産ビャクシン属5種の特徴まとめ

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.

編集履歴

2021/7/1 公開