ヒノキ Chamaecyparis obtusa

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大阪府高槻市(植林) 2014/2/21
※分布図は目安です。

分布1):本州(福島県いわき市以南)~九州(屋久島まで)

わが国で、スギに次いで2番目に多く植林されている樹木。スギとは異なり、葉が平面状に並んでいる。材質がよく利用価値が高いが、スギと同様に花粉症の原因植物として問題となっている。

ヒノキの概要

花期4月
希少度★★(やや普通)
大きさ1)高さ約30m
生活形常緑高木
生育環境2)中間温帯の山地の尾根付近や岩場
学名3)

ヒノキの形態

大分県佐伯市(植林) 2021/3/4

スギとは一見して異なる平面的な枝ぶりをしている。

大分県佐伯市(植林) 2021/3/4

鱗のような形の葉(鱗状葉)が対生し、平面に並ぶ。

大分県佐伯市(植林) 2021/3/4

葉裏には白い部分(気孔帯)があり、細いY字型をしている。

雄花

大分県佐伯市(植林) 2021/3/4

春、枝先に2-3㎜の雄花を1つずつつける。スギの花が終わるころ、入れ替わるように咲き出して花粉をまき散らし、花粉症の原因となる。

雌花

大分県佐伯市(植林) 2021/3/4

雌花も枝先につき、小さく目立たない。

樹皮

大分県佐伯市(植林) 2021/3/4

樹皮は縦に裂け剥がれる。

大阪府高槻市(植林) 2013/9/28

識別

日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。

アスナロとヒノキ、サワラ、ネズコの識別

ヒノキ:Y
サワラ:H(X)
アスナロ:W

葉裏の気孔帯(白い部分)を見ると分かりやすい。ヒノキはY、サワラはH(またはX)、アスナロはWに例えられる形をしている。
また、ネズコ(クロベ)はヒノキを太くしたような葉をしており、気孔帯が薄く目立たない。
アスナロは他3種に比べ鱗状葉が大きいため一見して区別できる。

ヒノキサワラアスナロネズコ
属名ヒノキ属ヒノキ属アスナロ属ネズコ属
分布本・四・九本・九本・四・九本・四
葉裏の気孔帯Y字型で細いH(X)字型で太いW字型で太い緑白色で不明瞭

ヒノキとスギの識別

ヒノキと同じく普通に植林され、本州以南でよく見られるスギとは、葉の形が大きく異なるため一見して区別できる。
スギの葉が立体的に配置しているのに対し、ヒノキの葉は平面に並んでいる。

スギ(花期)
ヒノキ(花期)
スギ
ヒノキ

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.

編集履歴

2021/7/1 公開