ハスノハギリ Hernandia nymphaeifolia

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小笠原諸島父島 2018/11/4
※分布図は目安です。

分布1,2):琉球、小笠原。琉球における東限は喜界島、西は与那国島まである。国外では台湾、海南島、東南アジア、スリランカ、アフリカ東部、ポリネシア、ミクロネシアに広く分布。

琉球や小笠原の海岸近くで見られる樹木。名前の通り、葉柄がハスの葉のように盾状につくのが大きな特徴である。果実はタマネギのような質感の総苞に包まれた独特な形。大きいものでは高さ20mにもなる。

ハスノハギリの概要

花期1,2)7-8月。冬~早春にも咲くようである。
希少度★★★(やや稀)
生活形常緑高木
大きさ1)高さ7-20m
生育環境2)海沿い。防風林や公園樹として植栽もされる。
学名nymphaeifolia:「スイレン(Nymphaea)のような葉の」

ハスノハギリの形態

小笠原諸島父島 2018/11/4

葉は葉身長10-30㎝、互生で全縁1)
和名の通り、葉柄がハスのように盾状につく。
オオバギよりも厚く、光沢があり、葉先があまり伸びない。

小笠原諸島父島 2018/11/4

親木の下に発生した実生。

果実

小笠原諸島父島 2018/11/4

果実は主に10-11月に熟し、直径約3㎝の総苞に包まれる1)
総苞は果実が熟すと黄色または赤色になる1)

小笠原諸島父島 2018/11/4

総苞には先端に穴があり、中に果実が見える。

小笠原諸島父島 2018/11/4

黒色のこの部分が果実(核果)。

小笠原諸島父島 2018/11/4

雌雄同株、花は雌雄異花。
花は小さく、花被片は雌花で4㎜、雄花で3㎜ほど1)
花序の枝先の中央に雌花が1個、その脇に雄花が2個つく3)
雌花は花被片が4枚×2輪の8枚、雄花は3枚×2輪の6枚1)

樹形・樹皮

沖縄県竹富島 2015/3/5

成木。
岩場では高さ2-3mでも花が咲くという1)

沖縄県竹富島 2015/3/5

樹皮は縦筋が入るかやや浅裂する2)

他種との識別

葉柄がハスの葉のように盾状につくことが非常に特徴的。
以下の2種はやや似るため注意が必要である。慣れれば迷うことはない。

オオハマボウとの識別

ハスノハギリとオオハマボウの見わけかた

アオイ科のオオハマボウは同じく琉球や小笠原の海岸に生え、遠目にはやや似て見えることがある。
しかし葉柄は盾状ではなく、葉身基部が心形になっているため区別は容易。

オオバギとの識別

ハスノハギリとオオバギの見わけかた

トウダイグサ科のオオバギは琉球に分布し、葉柄が盾状につく点が同じで、葉形もよく似ている。
以下の点に着目すれば見分けは難しくない。

  • オオバギのほうが葉の質が薄い。
  • オオバギのほうが光沢が弱い。
  • オオバギのほうが側脈(主脈から平行に出る葉脈)の数が多い。
  • オオバギのほうが葉先が長く伸びる傾向がある。

なお、オオバギのほうが個体数が多く、より普通に見られる。

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2016. 『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版.
3)片野田逸朗 2019. 『Illustrated Field Guide to the Flora of Ryukyu 琉球弧・植物図鑑 from AMAMI』南方新社.

編集履歴

2022/3/21 公開
2022/9/19 分布を一部修正