植物 > 被子植物 > クスノキ目 > ハスノハギリ科 > ハスノハギリ属
琉球や小笠原の海岸近くで見られる樹木。名前の通り、葉柄がハスの葉のように盾状につくのが大きな特徴である。果実はタマネギのような質感の総苞に包まれた独特な形。大きいものでは高さ20mにもなる。
ハスノハギリの概要

花期1,2) | : | 7-8月。冬~早春にも咲くようである。 |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
生活形 | : | 常緑高木 |
大きさ1) | : | 高さ7-20m |
生育環境2) | : | 海沿い。防風林や公園樹として植栽もされる。 |
学名 | : | nymphaeifolia:「スイレン(Nymphaea)のような葉の」 |
ハスノハギリの形態
葉
果実
花
雌雄同株、花は雌雄異花。
花は小さく、花被片は雌花で4㎜、雄花で3㎜ほど1)。
花序の枝先の中央に雌花が1個、その脇に雄花が2個つく3)。
雌花は花被片が4枚×2輪の8枚、雄花は3枚×2輪の6枚1)。
樹形・樹皮
他種との識別
葉柄がハスの葉のように盾状につくことが非常に特徴的。
以下の2種はやや似るため注意が必要である。慣れれば迷うことはない。
オオハマボウとの識別
オオバギとの識別
トウダイグサ科のオオバギは琉球に分布し、葉柄が盾状につく点が同じで、葉形もよく似ている。
以下の点に着目すれば見分けは難しくない。
- オオバギのほうが葉の質が薄い。
- オオバギのほうが光沢が弱い。
- オオバギのほうが側脈(主脈から平行に出る葉脈)の数が多い。
- オオバギのほうが葉先が長く伸びる傾向がある。
なお、オオバギのほうが個体数が多く、より普通に見られる。
ハスノハギリ属について
常緑高木で、世界の熱帯・亜熱帯に24種が知られる1)。
日本にはハスノハギリ1種のみ分布する。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2016. 『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版.
3)片野田逸朗 2019. 『Illustrated Field Guide to the Flora of Ryukyu 琉球弧・植物図鑑 from AMAMI』南方新社.
編集履歴
2022/3/21 公開
2022/9/19 分布を一部修正