モミ属の概要
常緑高木。球果は年内に熟す。世界に約40種、日本に5種が自生する1)。
日本産モミ属一覧
5種が分布する。種の学名はIto et al.(2016)2)による。
識別【モミの仲間の見わけかた】
北海道にトドマツ、本州以南に他4種が分布する。
葉の形や枝の毛の有無などで比較的簡単に見分けられる。
モミ | ウラジロモミ | シラビソ | オオシラビソ | トドマツ | |
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分布 | 本州~九州 | 本州(東北~近畿)、四国 | 本州(東北~近畿)、四国 | 本州(東北~中部) | 北海道 |
標高 | 山地~丘陵 | 亜高山帯 | 亜高山帯 | 亜高山帯 | 山地~丘陵 |
葉 | 太くやや長い | 太くやや長い | 細く長い | 太く短い | 細く長い |
葉先 | 2叉~くぼむ | 小さく2叉(若木)~くぼむ | くぼむ | くぼむ | くぼむ |
若枝 | 有毛 | 無毛 | 有毛、上からよく見える | 有毛、上からよく見えない | 有毛 |
ふつう葉先が明瞭に2叉するため見分けやすい。成木の日に当たる葉では葉先があまり尖らない場合があり、ウラジロモミと似るが、若枝が有毛であること、葉裏があまり白くならないことから識別できる。本州以南のモミ属では最も低地で見られる。本州~九州に分布。
モミ属で唯一、若い枝が無毛。和名の通り葉裏の気孔帯が白く目立つが、モミ属はモミを除いて同じように白いため注意。モミほど葉先が尖らない。モミより高標高地で見られる。本州(東北~近畿)、四国の亜高山帯に分布する。
本州以南にあるモミ属では最も葉が細長い。ウラジロモミとは若枝の毛の有無(本種は有毛)で区別できる。オオシラビソとは上から枝がよく見える(枝が葉であまり隠れない)こと、本種の葉がより長いことで識別できる。本州(東北~近畿)、四国の亜高山帯に分布する。
シラビソよりも葉が短い。葉が枝の上側に沿ってつくため上から枝がよく見えない。本州(東北~中部)の亜高山帯に分布する。
北海道に分布するモミ属は本種のみ。本属中最も葉が細長い。シラビソよりも葉の出る角度が枝に対して狭い。北海道に分布する。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編)2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)Ito, M., Nagamasu, H., Fujii, S., Katsuyama, T., Yonekura, Ebihara, A., Yahara, T. 2016. GreenList ver. 1.01, (http://www.rdplants.org/gl/)
編集履歴
2021/7/1 公開
2021/10/31 識別の項目を追加