アカマツ Pinus densiflora

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アカマツ
京都府南丹市 2008/5/4
分布図は目安です。

分布:北海道(南部)、本州、四国、九州(屋久島まで)1)。北海道南部の分布は移入であるとされる2)

乾燥したやせ地でよく見られるマツの仲間。植えられることも多く、真の自生との区別は難しい。クロマツとは葉の硬さが違うので、触るとわかりやすい。

概要

花期1)4-5月
希少度★(ごく普通)
大きさ1)大きいもので高さ30m、幹径1.5m
生活形1)常緑高木
生育環境1,3)低地から標高約2000mの乾いた場所、尾根、やせ地、岩場など
和名樹皮が赤いことからか。別名メマツ。
学名4)densiflorus「密に花がつく」

識別

日本産マツ属全体の見わけかたについては「マツ属」のページをご参照ください。

日本産のマツ類のうち、葉が2本ずつつく「二葉松」の仲間は本種とクロマツ、リュウキュウマツの3種。

クロマツとの識別

樹皮の色1):アカマツは赤灰色、クロマツは灰黒色。
冬芽1,3):アカマツは赤褐色で、細い鱗片が反り返って目立つ。クロマツは白色で、鱗片はほとんど反り返らない。
葉の硬さ:クロマツのほうが硬く、手のひらで葉先を触ると痛い。アカマツは相対的に柔らかく、あまり痛く感じない。
葉の樹脂道:アカマツはすべて下表皮に接する。クロマツはすべて葉肉内にある1)。樹脂道の位置は、葉の断面を顕微鏡で観察することで確認できる。

リュウキュウマツとの識別

樹皮の色1):アカマツは赤灰色、リュウキュウマツは灰黒色(クロマツに似る)。
葉の樹脂道1):アカマツはすべて下表皮に接する。リュウキュウマツは葉肉内にあるものと、下表皮に接するものと両方が存在する。
分布1,2):アカマツは青森~屋久島に分布、北海道南部に帰化。リュウキュウマツはトカラ列島以南に分布、小笠原に帰化。

形態

樹皮

大阪府高槻市 2013/9/28

赤灰色/赤褐色で不規則に剥がれる。特に樹皮がよく剥がれて地肌が露出している部分は赤色が目立つ1,5)

分類

本サイトの裸子植物の分類はChristenhusz et al.(2011)6)による。

文献

1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)松井善喜 1965. 北海道の森林の取扱いに関する研究 Ⅱ 北海道における各樹種の植栽沿革とその造林成績に対する考察. 林業試験場研究報告 189, 1-160.
3)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
4)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
5)鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文(著) 2014. 『ネイチャーウォッチングガイドブック 四季を通じて樹木を観察する 431種 樹皮と冬芽』誠文堂新光社.
6)Christenhusz M. J. M., Reveal J. L., Farjon A., Gardner M. F., Mill R. R., Chase M. W. 2011. A new classification and linear sequence of extant gymnosperms. Phytotaxa 19, 55-70.

編集履歴

2021/7/1 公開