植物 > 被子植物 > クスノキ目 > クスノキ科 > クロモジ属
分布1,4,5,6):本州~九州。東限は神奈川県箱根三国山。南限は屋久島。海外では朝鮮半島、中国、台湾。
クスノキ科の落葉樹では最も樹高が高くなる種。西日本を中心に分布し、地域によっては普通に見られる。枝先に集まる倒披針形の葉が特徴的である。
カナクギノキの概要
花期1) | : | 4月 |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
生活形 | : | 落葉高木(6~15m) |
生育環境2) | : | 丘陵~山地の尾根や多少乾いた林内 |
学名3) | : | erythrocarpus「赤い果実の」 |
カナクギノキの形態
葉
葉は葉身長6-15㎝、鋸歯がない(全縁)2)。
枝先に集まってつく姿が特徴的である。
葉裏は白みを帯びる。
葉幅は細長く、先寄りで最大(倒披針形)になる。
葉裏は白っぽく、脈上に褐色の毛が少し生える。
秋には黄色に黄葉する。
花
花序は4月ごろ、葉と同時に展開する。
アブラチャンやダンコウバイ、シロモジは花がより鮮やかな黄色。
クロモジやケクロモジは花期にはよく似ているが、これらは若枝が黄緑色なので区別できる(カナクギノキの若枝は淡褐色)。
クロモジ属はすべて雌雄異株。
花被片は雄花・雌花ともに6個。
写真は雄花で、雄しべが外側6個・内側3個の合計9個あり、内側の雄しべにはそれぞれ腺体が2個ずつついている。
果実
果実は赤熟する。
種小名のerythrocarpaはerythro-が「赤」、carpusが「果実」の意味である。
若い果実。
冬芽
冬芽は尖った葉芽の脇に数個の丸い花芽がつく特徴的な形をしている。
クロモジやケクロモジは似ているが、若枝の色が黄緑色。
アブラチャンは花芽の柄が葉芽より長い。
ダンコウバイは花芽に柄がない。
ヤマコウバシは花芽と葉芽が1つの芽になっている(混芽)。
樹皮
樹皮はうろこ状に粗く剥がれる。
同属では最も大型になり、幹も太くなる。
識別
葉がある時期は、類似種も少なく見分けやすい。葉の特徴は次の通り:
①落葉樹で鋸歯はなく互生し、枝先に集まってつく
②葉は細長く、先寄りで最も幅広くなる
落葉期や花期には同属他種と似る。識別点は花と冬芽それぞれの項を参照。
なおクスノキ科の落葉樹で10mを超えるような高木になるのは本種だけである(アオモジも時に超えることがある)。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
4)神奈川県植物誌調査会 2018. 『神奈川県植物誌2018電子版』神奈川県植物誌調査会.
5)鈴木英治・丸野勝敏・田金秀一郎・寺田竜太・久保紘史郎・平城達哉・大西亘 2022.『鹿児島大学総合研究博物館研究報告 No.17 鹿児島県の維管束植物分布図集 -全県版-』鹿児島大学総合研究博物館.
6)田中信行・松井哲哉 (2007-) PRDB:植物社会学ルルベデータベース, 森林総合研究所. URL: http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/prdb/index.html 2023/5/7閲覧.
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2023/5/7 公開