植物 > 裸子植物 > ヒノキ目 > ヒノキ科 > ビャクシン属
分布1):北海道、本州、九州(種子島まで)。国外ではサハリン。四国には分布しない?
海岸に生える針葉樹。その名の通り地を這う樹形が特徴的で、環境のよい砂浜周辺などで見られる。
ハイネズの概要
花期1) | : | 5月 |
希少度 | : | ★★★(やや稀) |
生活形 | : | 匍匐性の常緑木本 |
生育環境2) | : | 海岸 |
和名 | : | ネズの仲間で、樹形が這うことから |
学名3) | : | confertus「密集した」 |
ハイネズの形態
葉
葉は針状で3本ずつ生える(3輪生)。
若枝は太い。
葉表には白い気孔帯が1本ある。
シマムロ(オキナワハイネズ)の気孔帯は2本と異なる。
果実
果実は直径9-10㎜。
白い粉を帯びる。
識別
日本産針葉樹全体の識別については「針葉樹の見わけかた」のページをご参照ください。
ハイネズとイブキ、ネズ、ミヤマネズ、シマムロの見分け方
国内のビャクシン(ネズミサシ)属には他にイブキ、ネズ、ミヤマネズ(広義)、シマムロ(オキナワハイネズ)の4種がある。
イブキは葉に2形があり、多くが鱗状であることで容易に識別可能。
ネズは幹が直立し、内陸の丘陵地に生えるため、ふつう迷うことはない。しかし一部の地域ではハイネズと交雑していることが知られている(後述)。
ミヤマネズ(広義)は高山に生え、ハイネズとは生育環境が異なる。変種にもよるが、ハイネズよりも気孔帯が太いことも特徴。
シマムロ(オキナワハイネズ)は葉の白い部分(気孔帯)が2本あることで明確に見分けられる。
イブキ | ネズ | ハイネズ | ミヤマネズ | シマムロ | |
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分布 | 北~九 | 本・四・九 | 北・本・九 | 北・本 | 本・小笠原 |
環境 | 海岸/高山 | 丘陵 | 海岸 | 高山 | 尾根 |
葉形 | 鱗状/針状 | 針状 | 針状 | 針状 | 針状 |
樹形 | 匍匐~直立 | 直立 | 匍匐 | 匍匐~斜上 | 匍匐~直立 |
気孔帯 | 2本 | 1本(細い) | 1本(細い) | 1本(太い) | 2本(太い) |
オキアガリネズ(ネズ×ハイネズ)
通常、ネズは丘陵地に、ハイネズは海岸に生え、同所的に見られることは多くない。
しかし、両者には稀に雑種ができ、オキアガリネズJ. x pseudorigida(学名は大橋ら(2015)1)より)と呼ばれている。
特に愛知県では広い範囲で交雑帯が見られることが知られており、ネズに近いものからハイネズに近いものまで見られる。
ネズに似るが、若枝がより太くがっしりした印象を受ける。
樹形は這うものから直立に近いものまで様々で、時に区別が難しい。
ハイネズの生育環境
海岸の砂浜や岩場の上を這うように生育する。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)Lorraine Harrison 2012. Latin for gardeners. Quid Publishing. (ロレイン・ハリソン 上原ゆう子(訳) 2014. 『ヴィジュアル版 植物ラテン語辞典』原書房.
編集履歴
2021/7/1 公開