植物 > 裸子植物 > ナンヨウスギ目 > マキ科 > ナギ属
分布:本州(三重県、和歌山県、山口県)、四国、九州、琉球1)。紀伊半島の個体群はすべて植栽由来との見方もある。国外では台湾に分布。庭木、神木として植栽される。
針葉樹の仲間だが、とてもそうは思えない形の葉をしている。神社などでよく植えられているが、自然分布の個体を見る機会は少ない。
ナギの概要
花期1) | : | 5-6月 |
希少度 | : | ★★★★(珍しい) |
大きさ1) | : | 高さ20m、幹径50‐80㎝ |
生活形1) | : | 常緑高木 |
生育環境2) | : | 低地~山地の照葉樹林 |
学名 | : | nagi「ナギ」 |
ナギの形態
葉
葉は針葉樹の仲間とは思えない幅広い形。対生し、長さ5‐8㎝2)。
樹皮
紫褐色で不規則に剥がれ、赤褐色が混じって斑模様となる。
老木の樹皮(黒駒神社のナギ)。
暖地性の樹木で、日本海側では植栽も稀である。
識別
葉は針葉樹の仲間としては特異で、他の裸子植物と識別に困ることはない。
葉だけ見るとネズミモチの仲間(イボタノキ属)などに若干似るが、葉脈に中央脈がなく、平行脈のみからなることから区別できる。
幹もまだらに剥がれる様子が特徴的で、見分けやすい樹種と言える。
奈良公園のナギとシカ
春日大社で有名な奈良公園周辺にはナギが多く生えており、場所により純林が見られる。
1000年以上前に植えられたものとされ、自然分布ではない3)。
春日山や奈良公園周辺はシカが非常に多く、イヌガシ、ナンキンハゼ、アセビなどとともに、ナギもシカに食べ残されて生き残ったと考えられる3)。
文献
1)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編) 2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
2)林将之 2014.『山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と渓谷社.
3)佐々木宏二・増田昇・井原縁・竹田博康・加我宏之 2020. 奈良公園の風致景観を支える主にシカが定住する平坦部の樹林の特徴と形成過程. ランドスケープ研究(オンライン論文集) 13: 59-69.
編集履歴
2021/7/1 公開